元衆院議員で弁護士という“上級国民”がまた逮捕された。
警視庁捜査2課は6月13日、詐欺の被害金を回収する名目で、無資格者に自らの弁護士名義を貸して法律事務をさせたとして、元自民党衆院議員で弁護士の今野智博容疑者(48)を弁護士法違反(非弁提携)の疑いで逮捕したと発表した。また、同課は今野容疑者の名義で弁護士資格がないのに法律事務をした疑いで、千葉県市川市の職業不詳、辻直哉容疑者(51)ら男女10人を同法違反(非弁活動)の疑いで逮捕した。
「今野容疑者は2012年と2014年の総選挙で自民党から出馬し、2回とも小選挙区では落選したものの比例復活した元衆院議員です。今回の逮捕容疑は、弁護士資格のない辻容疑者らが今野容疑者の名前をかたって国際ロマンス詐欺や特殊詐欺などに遭った全国約900人の被害者から被害回復の着手金として計5億円の弁護士費用を受け取ったというものです。
辻容疑者らが営業をして『うちの先生は元国会議員だから』などと言葉巧みに着手金を得ていたようです。実際には、被害金回収の作業をほぼしていなかったとみられ、詐欺被害者を狙った更なる詐欺ともいえる姑息な犯罪です。今野容疑者は着手金の1割程度を受け取り、被害回復の法律事務にはまったく携わっていなかったとみられています」(大手紙社会部記者)
今野容疑者が登録していた埼玉県弁護士会には、「投資詐欺について相談したが、今野法律事務所と連絡が取れなくなった」などの苦情が、2023年10月から今年6月にかけて計24件ほど集まり、事態が発覚したという。同県弁護士会は公式ホームページで今年1月、「投資・副業・国際ロマンス詐欺に代表される詐欺案件の依頼にあたってのご注意」というタイトルで、被害回復の分野で弁護士法に違反するものが散見されることに注意喚起していた。今野容疑者が逮捕されると、容疑者についての特設電話相談を実施するなど対応に追われている。