そんな今野容疑者は、日本弁護士政治連盟の公式ホームページの企画で現職の衆院議員時代に「5歳の時から『政治家になりたい』と考えていました」などと話していた。「私は、法学部出身でもなく、正直なところ法律の専門家を自称することには躊躇を覚えます」とも吐露している。そんな容疑者の名義に、多くの詐欺被害者らが再び“騙された”のが今回の事件だ。
「今野は国政選挙にまた出馬するためにカネが必要だと周囲に漏らしていました。着手金の1割は5000万円。手軽に稼げると考え、安易に名義を貸していたということです。また、彼は弁護士事務所のほかに『ネットトラブルの解決』をうたった株式会社Aを経営し、誹謗中傷対策という名目でインターネット上で営業をかけていました。営業活動に制限がある弁護士事務所と、そうでない会社を使い分けることで、非弁活動とも取られかねないグレーなカネ稼ぎをしていたと疑われていました」(法曹関係者)
政界での活動資金のため、違法な名義貸しをしていたという今野容疑者。辻容疑者との蜜月ぶりは、業界では有名だったという。
「辻は今野法律事務所など複数の名刺を持ち歩いていました。彼自身は弁護士ではないものの、かつては別の中堅法律事務所で勤務しており一定程度の知識はあったと思われます。そこで、以前より今野容疑者の名義を使って複数の”事業”をしていることは業界では知られた事実です。今回事件になった詐欺被害者の件だけでなく、例えば、ネットの掲示板の関連事業も行っていた。ある掲示板の運営に関わる会社Bで、辻は役員を務めています。この系列の掲示板の投稿の削除をめぐっても、辻らの非弁行為があったのではないかと業界では噂されています」(前出・法曹関係者)
近年、さまざまな業界で問題視されていた“非弁行為”に捜査機関のメスが入ったことで、弁護士界隈で大きな話題になっているという。詐欺被害者の弱みにつけ込んでいた姑息な事件の実態解明に注目が集まる。