サッカーの国際審判員を2014年に退任後、JFAの「プロフェッショナルレフェリー」として指導的役割を果たす西村雄一氏(撮影/田中麻以)
ややもすれば「人間がいいか、機械がいいか」という対立構造の文脈で語られがちなテクノロジー判定の導入論議だが、西村の答えは明確だ。
「選手が試合で全力を出せるようにするために──それだけです。実現すべきことが人間に委ねられるのであれば人間に、テクノロジーが適しているのであればテクノロジーに。審判の役割はあくまで選手たちを支えることなのです」
(了)
※『審判はつらいよ』(小学館新書)より一部抜粋・再構成
【プロフィール】
鵜飼克郎(うかい・よしろう)/1957年、兵庫県生まれ。『週刊ポスト』記者として、スポーツ、社会問題を中心に幅広く取材活動を重ね、特に野球界、角界の深奥に斬り込んだ数々のスクープで話題を集めた。主な著書に金田正一、長嶋茂雄、王貞治ら名選手 人のインタビュー集『巨人V9 50年目の真実』(小学館)、『貴の乱』、『貴乃花「角界追放劇」の全真相』(いずれも宝島社、共著)などがある。サッカーをはじめプロ野球、柔道、大相撲など8競技のベテラン審判員の証言を集めた新刊『審判はつらいよ』(小学館新書)が好評発売中。