落語家の春風亭一之輔
舟橋:我々も、そのことは大方把握していました。「奥さんは担がれただけだろう」って。
敬子:詳しい事情はわからないから「何で猪木さんは出てくれないの?」とは思っていて。
舟橋:猪木さんも胸中は大変複雑だったと思うんです。妨害や嫌がらせも相当ありました。それでも、当日の猪木さんは吹っ切れた表情をしていたので「いい試合になる」という予感がありましたね。ロビンソンも当時の最高の選手ですから。
一之輔:結果、プロレス史に残る名勝負になりました。
舟橋:あの名勝負は猪木さんなりの力道山への供養だったと思います。猪木さんは心中「どうです、先生」と胸を張っていたのではないでしょうか。
撮影/藤岡雅樹
※週刊ポスト2024年7月12日号