藤野キャディ(左)と山下美夢有(Getty Images)
未経験者だった父がコーチ
代表争いで山下は“不利”だと言われてきた。LPGA関係者が言う。
「選考基準のポイントは日米どちらの試合も対象ですが、米ツアーは日本に比べてポイントが高い。今回、山下がメジャー2位で獲得したポイントは日本ツアーでは2.5回分の優勝に相当します。メジャー以外すべて日本で稼いでの代表選出は安定して活躍している証拠です」
山下は身長150cmで、日本ツアーのシード選手のなかで最も小柄。それでも2022年、2023年と2年連続で年間女王に輝いた要因は「ショットメーカー」と呼ばれる精密なショットにある。
プロゴルファーの沼沢聖一氏が言う。
「今大会はフェアウェイが狭い山間コースでしたが、山下はフェアウェイキープ率が84%。優勝したエイミー・ヤン(34)が61%ですから圧倒的な安定感です。この強みがあるから国内ツアーでドライビングディスタンス52位(236.54ヤード)でも優勝争いができた。
スイングが綺麗で、球も曲がらない。おまけにパットもアプローチもうまい。何より緊張する最終日最終組を楽しんで、自分のゴルフができたことが素晴らしい。スポット参戦で戸惑うのは芝の違いだが、正確なショットと小技があれば十分戦えることを示しました」
渋野や畑岡のように米ツアーを主戦場とする選手が増えたが、山下はメジャーだけのスポット参戦だ。その理由は何か。
「山下は“メジャーで優勝したい”“パリ五輪で優勝したい”とは語っているが、米女子ツアーに挑戦するとは言わない。理由は“家族との絆”だと言われています。
コーチの父(勝臣さん)、母(有貴さん)、弟(勝将さん)、妹(蘭さん)との時間を大切にしており、あくまで日本ツアーを戦いながら米メジャー制覇を目指すようです」(前出・ゴルフ誌記者)