不知火舞のコスプレを披露した28歳・韓国人女性(本人に許可を得て撮影)
日本の「通勤ラッシュ」の様子は、動画サイトなどを介して、世界中でもよく知られている。その為、マールテンさんも「見学」には行ったが、実際に乗車することはなかった。身の危険を感じたからだという。
「今までは、日本はすごいところだ、ぐらいにしか考えていませんでした。しかし間近で通勤ラッシュを見て、言葉が出ませんでした。毎朝、あのような混雑する電車に乗らなければ仕事に行けないんです。まさに命の危険を感じます。また、今は外国人向けの乗り換え案内アプリもあるけど、電車は時刻表通りに絶対やってくるし、乗り換えもたった数分で済ませねばならないし、電車に乗っている間はまったく気が抜けない。生活に余裕がなくなり、生き方が変わってしまいそう。もっとゆとりのある生活がしたい」(マールテンさん)
確かに、東京の通勤ラッシュは激しい。とくに新宿駅は世界でもっとも利用者数が多い駅のひとつと言われている。オランダでもラッシュアワーの混雑は発生するというが、人口約80万人を抱える最大の都市であるアムステルダムでも、東京のようにぎっしり人がひしめく車両に乗ることはないという。そういえば、前回の東京都知事選で小池百合子知事は「満員電車ゼロ」を公約に掲げていたことが思い出される。
その後、新型コロナウイルスの感染拡大によって通勤が控えられるなどしたため、なんとなく喫緊の課題という雰囲気が薄れてしまった。だが、過度な満員電車には東京で暮らす人たちのほとんどが不満を抱えているはずだ。マールテンさんの指摘によって、本来は危険で、少しの油断も許されない窮屈さだということを思い出させてくれた。
「今はオランダに戻り、日本旅行での楽しかった記憶を思い出しています。しかし、あの満員電車を見て以来、ああいう生活は私には合わないと思いました。決して日本が嫌いというわけではありませんが、皆が良い、素晴らしいと思うものでも、人々の価値観によってその評価は変わるのです」(マールテンさん)
他にも、一方では「絶賛」され、他方では避けられはじめたという日本の「文化」もある。
「一見便利なように見えて、あまり役立たない」
「来日前、母親がYouTubeで見たらしく、絶対に100円ショップには行きたいと。便利でかわいい品物が1ドル以下で買えて、大金持ちになった気分でショッピングができると、私も楽しみにしていました」
こう話すのは、南米・ペルー出身で今年春に日本旅行をしたというファナさん(30代)。100円ショップだけでなく、日本のコンビニで買える弁当やスイーツ、回転寿司などの食品にも大きな期待を寄せ、母親と二人来日した。