2023年7月に札幌市の繁華街ススキノのホテルで男性会社員(当時62)の頭部のない遺体が発見された事件。被害者の起訴された親子3人のうち、死体遺棄ほう助と死体損壊ほう助の罪に問われている母親の無職・田村浩子被告(61)の第2回公判が、7月1日に札幌地裁(渡辺史朗裁判長)で開かれた。
法廷に現れた浩子被告は、紺色のカーディガンに薄いブルーグレーのTシャツ、薄いグリーンのロングスカートという装いで、白髪混じりの髪の毛を後ろでひとつにまとめていた。
これまでの取り調べから一貫して、浩子被告は事件への関与を否定してきた。初公判では、「あまりに異常な状況で、娘に何も言うことができず、頭部を隠したいと言われたこともなく、頭部を持っているとも思わなかった」などと述べた。弁護人も「浩子さんが、娘が男性の頭部を浴室に置き続けていたことを認識して生活していたことに間違いはないが、隠匿しているとは思っておらず、隠匿を容認もしていない。咎めたり通報してはいないが、容認する発言もしていない」と起訴内容を否認し、無罪を主張している。
第2回公判では、検察側が請求した証拠として被害男性の長男の調書も読み上げられた。そこには父親を突然失ったショックが記されていた。
「7月4日、父が殺されたことを母からの電話で知って、頭が真っ白になりました。今も起きるたびに“現実なんだ”という気持ちと“家に帰ったらいつもの定位置にいるのでは”というよくわからない気持ちになります。
父はリビングのソファが定位置で、飲みながらYouTubeを見たり、プラモデルや女装の小道具を作っていました。今も家に帰ると父がいて、声をかけてくれるのではないかと思います。まだやりたいことがあったと思います」(被害者の長男の供述調書より)