父親が世間を揺るがす猟奇殺人の被害者となり、長男は今もスマホを持つと、つい事件について検索してしまうという。現実を受け止めきれない中で、それでも田村一家、そして当時の報道には強い怒りを感じているようだ。
「父は3度殺されました。1度目は殺されたとき。2度目は首を切られて皮を剥がされたとき。3度目は、『死んで当然な人間』と報じられたとき。減刑を求める署名運動まであった。父は、レイプ犯のようなことはしていないと信じています。人を喜ばせたり楽しませたりするのが好きで、女装を褒められて嬉しそうにしていた父がこんな殺され方をしたことには納得できません。
被疑者は、否認していると聞いた。娘は責任能力がないと主張し、両親は“知らなかった”と主張することですぐに釈放されて、一家が揃うシナリオを作っていると思いました。許せません。一家全員の極刑を望んでいます」(同前)
「嫌がる人に無理やりするような人じゃない」
被害男性の姉もまた、深い悲しみを抱えている。彼女の調書も読み上げられた。
「弟は週末にススキノへ遊びに行くことが多いと知っていたので、首のない遺体が見つかったという報道が出たとき、少しだけドキドキしたが他人事でした。7月3日の夜、義理の妹(被害者の妻)から“夫が家に帰ってこない、出勤していないと会社から連絡があった”と伝えられ、胸がザワザワしました。信じられないが、もしかしたら、まさかという思いで、一緒に警察に行きました。
刑事さんから体の特徴などの質問をされて、さらに(札幌)中央署の刑事さんが来て、防犯カメラ映像を見せられ、胸が苦しくなり、喉が渇いてしかたなかった。7月4日に遺体と弟の指紋が一致したと聞きました。受け入れたくありませんでした」(被害者の姉の供述調書より)