ここでクイズを出したい。北方四島と言えば択捉島、国後島、歯舞群島、色丹島だが、一番大きい択捉島と次に大きい国後島の面積はどれぐらいか、あなたは認識しているだろうか? 現在の日本列島のなかで(本州、北海道、九州、四国を「島」と考えなければ)一番大きい島は一つの県をなしている沖縄本島だが、択捉島や国後島はこの沖縄本島にくらべて何割ぐらいの面積か、概算でもいい、あなたは答えられるだろうか?
四割? 五割? それとも八割? 全部違う。じつは、この両島とも沖縄本島よりも大きいのである。この北方四島は日本固有の領土で、南樺太(サハリン)のように日露戦争で奪ったものでは無い。戦前の日本領土で台湾(九州ぐらいの面積)を「島」と考えなければ、最大の島と言えばこの択捉島で、次に大きいのが国後島だったのである。
いや正確に言えば、つまりロシアの不当占拠を認めなければ、いまでも日本最大の島は択捉島なのである。しかし、たぶんあなたはそれをご存じなかっただろう。つまり、これがマスコミあるいは教育によるこの北方領土問題の文字どおりの「矮小化」ということである。
現在のロシアは帝国では無く共和国のはずだが、中国と並んで「最後の帝国主義国家」である。そもそも帝国主義とは、それに反対する共産主義者が、自国の利益のために他国の主権を踏みにじり次々と植民地化していった欧米列強を批判する言葉として生まれたものだが、皮肉なことにかつて共産主義国家ソビエト連邦であったロシアと現在も引き続き共産主義国家である中国が、帝国主義という悪しき習慣を受け継いだ形になっている。皮肉と言えばこれ以上皮肉な話もあるまい。
なぜそうなるかと言えば、民主主義体制が不十分だからである。共産党一党独裁の中国は論外だが、本来は複数政党制の民主国家であるはずのロシアも、プーチンという独裁者に幻惑されてウクライナ侵略という誤った道を選択した。ちょうどアドルフ・ヒトラーに心酔したナチス・ドイツが世界征服に乗り出したのと同じことだ。しかし、曲がりなりにも共和国であるロシアは、何年かかるかわからないがドイツ国民がナチズムという迷妄から覚めたように、必ず民主国家に回帰するだろう。
問題は中国である。