2019年の調査によると、現在、習慣的に喫煙している人は16.7%、男女別では男性27.1%、女性7.6%。それらのうち加熱式たばこ使用者は男性で27.2%、女性25.2%で、20~30歳代の喫煙者では約30~50%が加熱式たばこを使用している(厚生労働省調べ)。日本人の喫煙率は長らく減少傾向にあるものの、そのなかで加熱式たばこ使用者は増え、その一部ユーザーによる自分に都合よく解釈した「たばこマナー」が各方面で問題となっている。ライターの宮添優氏が、一部の加熱式たばこユーザーが厄介な迷惑喫煙者化していることで、周囲に積もるフラストレーションについてレポートする。
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紙巻たばこのように大量の煙が出ず、非喫煙者への影響が少ないような気がする加熱式たばこ。喫煙所に行けば、箱状のケースを握りしめ、吸い口から煙を吸っては吐き出すという加熱式たばこ派の姿を多く見かけ、旧来の紙巻たばこ派がどんどん少数派になっていることが窺える。喫煙者としても、周囲に「くさい」「煙たい」と言われるくらいなら、と加熱式たばこに移行した例は少なくないだろう。
日本でたばこといえば長らく、細かく刻んだたばこ葉を、紙で細長く巻き片端にフィルターをつけた紙巻たばこのことを指し、特に非喫煙者にとって「たばこ」と言われて思い浮かぶのは、今もこちらかもしれない。ライターやマッチで端に火をつけ、フィルターを通して吸引し味わう。一方、加熱式たばこは、たばこ葉を燃焼ではなく加熱することで発生する蒸気をたのしむものだ。加熱方式の違いからだろう、紙巻きとくらべると加熱式は、同じようにたばこ葉を使っていても目に見える煙は少し薄めで、漂う香りも控えめだ。
実際、紙巻たばこから加熱式たばこに代えた喫煙者からは「もう紙巻たばこなんてにおいが強すぎて吸えない」「火を使うので危ない」など、加熱式たばこがいかに優れているか、という意見も飛び出してくる。ところが、こう思っているのは「加熱式たばこ」ユーザーのみではないのか、と感じる非喫煙者は少なくない。
喫煙所を使わない一部の加熱式たばこユーザー
千葉県在住の女性会社員・Aさん(30代)は、加熱式タバコ利用者の中には、人混みなどでもところ構わず吸う人が一定数いると、怒りを交えて指摘する。
「駅に向かう途中の混雑する通りで、毎朝、必ず誰かが加熱式たばこを吸っているようで、強烈なにおいが漂っています。紙巻たばこよりはにおいや煙は少ないものの、独特のにおいが周囲に漂っています。加熱式たばこはにおわないからいいだろうと思っているのは、吸っている人だけ。だから、こっそり吸ってもバレないと思っている。他にも、全面禁煙のはずのテーマパークや遊園地でも、手で隠すように吸っている人は結構見かけます。そういう意味では、紙巻たばこよりタチが悪い」(Aさん)