「喫煙者の夫や同僚達は、加熱式たばこなんか吸わない、と言っていたんです。ですが、同僚が加熱式たばこの良さを吹聴したらしくて、禁煙していた人たちが続々加熱式たばこで復活してしまいました」(Cさん)
禁煙に成功した、と喜んでいた同僚も、次々に加熱式たばこを購入。全面禁煙の庁舎内では吸えないため、同僚の車などを「喫煙所」として利用し、業務中に離席する喫煙者も増えた。さらに、社会の規範となるべき職場なのに、率先してルールを無視する加熱式たばこユーザーが続出した。
「庁舎内の職員用トイレや給湯室など、あらゆるところで加熱式たばこの吸い殻が発見されるようになっています。みんな、におわないからバレないと思っているのか、あちこちで吸いまくっているようです。紙巻たばこのときよりも、喫煙者のモラルが低下しているような気さえします」(Cさん)
結局、加熱式たばこを愛用するようになったCさんの夫も、やはり「においも煙もほとんど無いから」という理由で、今度は自室や車、さらには入浴中までも加熱式たばこを吸うようになってしまったから笑えない。
「加熱式たばこ用品も、充電器に色を塗ったりパーツを変えたりカスタムまでしていて、余計にお金がかかっているようです。呆れて声も出ません」(Cさん)
なぜ禁煙の場所が増えたのかというそもそもの理由を思い起こして欲しい。大きな理由のひとつに、非喫煙者に対して喫煙者が一方的に煙を吸わせる受動喫煙をさせないため、というものがある。加熱式になったとはいえ、たばこ葉を使っているという点では紙巻たばこと変わらない。副流煙がない加熱式でも、喫煙者が吐き出す”呼出煙”は存在するので、結果的に受動喫煙の危険場所を増やしていることになる。
加熱式たばこを利用することによって増加した一部の新たな喫煙者達は、紙巻たばこユーザーに対して自分たちの優位性を信じているようだ。副流煙がないだけで、加熱式たばこによる喫煙行為は「迷惑にならない」と考えているようで、こっそり吸えば隠し通せるとさえ考えているのかもしれない。バレないからいいだろう、というスタンスの喫煙者の登場で、たばこを巡るトラブルはさらに増えていきそうだ。