芸能

映画『九十歳。何がめでたい』、業界の“常識”を覆したヒットの理由と上映館で起きていた高齢者たちによる思わぬ“騒動”

(撮影/浅野剛)

映画『九十歳。何がめでたい』、業界の“常識”を覆したヒットの理由とは(撮影/浅野剛)

 大ヒットエッセイを草笛光子(90歳)主演で映画化した『九十歳。何がめでたい』が大ヒットしている。その背景について放送作家でコラムニストの山田美保子さんが解説する。

 * * *

 6月29日放送の『王様のブランチ』(TBS系)の映画コーナー。「全国映画動員ランキング」(興行通信社調べ)で初登場2位にランクインしたのは同月21日公開の草笛光子主演『九十歳。何がめでたい』だった。

 同コーナーではさらに、6月20日~24日の鑑賞者アンケート(株式会社MSS調べ)による「満足度97.3%」「口コミ推奨度98.7%」なる高評価も紹介。シリーズ累計180万部突破の佐藤愛子氏の国民的エッセイを映画化した笑いと共感のエンターテインメントは「大ヒット上映中」である。

 だが、公開前日のイベントで、「(チケットが)高齢者割引になっているので1人2回は見てもらわなければ興行収入につながらない」と心配顔だったのは前田哲監督だ。

 映画界では公開日から3日間の初動成績が、その後の公開日数の長短に関わるというのが“常識”。公開前日イベントの舞台裏では宣伝担当はもちろん、監督や主要キャストらが「この3日間が大事なので、PRをよろしくお願いします」と記者らに懇願する様子も見られたものだ。

「実は、この映画は公開から3日間の成績は、それほどでもなかったと聞いています」とは、関係者の一人。だが、公開初週、話題の新作が続々公開されるなか、ランキング2位まで上り詰めた理由は、「週末や夜間ではなく、週明け月曜日からの昼間の成績が突出していた」(同)というのである。

 Xのポストを見てみると、中高年の女性が友人たちと誘い合わせて観に行ったとか、娘が高齢の母を誘って久しぶりに映画館に行ったとか、母にせがまれて一緒に行った…などといった声が目立っている。

 実際、館内には高齢者が目立ち、50代女性が「たぶん私はこの中で最年少」と指摘するポストも見られた。メインはもっと上の層なのである。

「何十年かぶりに映画館にいらしたという方もとても多いので、自由席だと勘違いして他の方の席に座ってしまったり、途中でスマホが鳴ってしまったりと、映画の内容にも似た微笑ましい光景があちらこちらで見られています」(案内スタッフ)

関連キーワード

関連記事

トピックス

父娘ともにお互いを利用せず活動を続ける(Xより)
《あざと女王の森香澄アナ(29)ショック》「放送作家の実父」経営のラーメン店がオープン4カ月、『がっちりマンデー!!』放送直後に廃業の意外な理由
NEWSポストセブン
指定暴力団山口組総本部(時事通信フォト)
六代目山口組の機関紙『山口組新報』、自虐ネタが消え〈物価高 嫁のやりくり ブッダかな〉〈値上げだと? 家の家計 音を上げる〉と経済苦を嘆く
NEWSポストセブン
ベネチア国際映画祭に出席した北野武
《約1000人が笑いの渦に》北野武監督「テスト形式の作品」がベネチアの地で大絶賛
NEWSポストセブン
トンボをはじめとした生物分野への興味関心が強いそうだ(2023年9月、東京・港区。撮影/JMPA)
《「根拠のない情報」発言の真相》宮内庁の幹部たちが最も否定したいのは悠仁さまの「進学先」ではなく、「成績不振報道」だった 東大農学部とは“相思相愛”か? 
女性セブン
ヤマハ発動機の日高元社長(共同、時事)
《娘に切り付けられ退任》ヤマハ発動機社長、事件前に目撃されていた“父娘の散歩” 名古屋出身も「俺はトヨタよりこっちのほうが…」見せていたバイク愛
NEWSポストセブン
田村瑠奈被告と父・修被告
「俗に言う“お持ち帰り”をされた」「最後の行為でゴムを取られて…」父・田村修被告が証言した“瑠奈被告と被害男性のプレイ詳細”
NEWSポストセブン
優勝決定後、デコピンを抱きかかえる大谷翔平と真美子夫人(写真/AFLO)
【担当者が“管理できない!”と悲鳴】大谷翔平にファンレターやプレゼントが殺到、球団が異例の「贈り物禁止令」を通達 
女性セブン
容疑者
「お前が妹を殺してさあ!」瑠奈被告が絶叫した“永遠の7分間” 父・修被告は「妹とは瑠奈の魂です」と証言【ススキノ第4回公判】
NEWSポストセブン
映画『カリブ・愛のシンフォニー』の製作発表に出席したふたり('84年11月)
《旅サラダを卒業》「常にトレンディー」「共演者を気遣う」「ダジャレも歓迎される」“愛されるMC”だった神田正輝の魅力
女性セブン
逮捕された伊佐山容疑者(左)と摘発されたハプニングバー「Nocturne」
《錦糸町のハプニングバー摘発》「20代男女が昼から乱倫パーティ」女性向け人気セラピストだった経営者による「集客方法」で会員数は2000人規模に
NEWSポストセブン
眞鍋政義氏の不倫相手・A子さんと遠征先で会食していた川合会長
バレーボール協会・川合俊一会長、眞鍋政義氏と不倫女性を交えて“貸切り会食”していた 店舗に飾られていた「疑惑のサイン」本人を直撃
NEWSポストセブン
日赤へのご就職から半年が経った愛子さま(9月、東京・千代田区。撮影/JMPA)
《愛子さまが“黒柳徹子ゆかりの美術館”を訪問》40年以上前から続く黒柳徹子と皇室の縁、美智子さまとの深い交流 
女性セブン