成績不振で二軍再調整を続ける巨人の坂本勇人(35)。「グラウンドの華」と言われるショートを長く守り、打線でも中核を担ってきた名手の早期復帰を望む声は少なくないが、阿部慎之助・監督(45)が取るべき策は──。【前後編の前編。後編を読む】
坂本がケガや体調不良以外の理由で二軍に落ちるのは、2007年のルーキーイヤー以来のことだ。長く“巨人の顔”を務めた主力の二軍再調整にチーム内には衝撃が走った。巨人番記者が語る。
「二軍落ちは坂本と阿部監督、二岡智宏ヘッド(48)の三者会談で決定したという話ですが、坂本のような実績があれば相手にプレッシャーを与えられるだけに、とりあえずスタメンから外して、代打の切り札として調整も兼ねて使う選択肢もあったはず。ケガもしてないのに無期限の登録抹消は驚きました。降格を言い渡された坂本本人は不調の原因がわからないようで、今は選手寮にある最先端の研究室でデータ測定に取り組み、浮上のきっかけを掴もうとしています」
坂本は現役最多となる2375安打(7月1日時点)を放ち、ショートでゴールデングラブ賞を5回獲得。2022年まで8季連続で伝統の巨人軍のキャプテンを務めたまさに“チームの柱”だった。
だが、阿部監督の就任1年目となる今季はサードにコンバートされ、当初5番だった打順は7番に降格。特に6月は打率1割5分9厘、1本塁打、4打点と不振を極めた。成績が低迷する坂本の穴をどう埋めるかも、チームの悩みの種となっている。前出・巨人番記者が続ける。
「阿部監督は開幕前、『ファースト岡本和真(28)、サード坂本、ショート門脇誠(23)は固定する』と宣言していました。しかし、坂本からショートのポジションを奪った門脇は打撃の低迷に加えエラーが多く、5月中旬から泉口友汰(25)が起用される機会が増え、坂本の不調で岡本はファーストからサードに回っている。開幕前の構想が大きく崩れています」
坂本が長く守ってきたショートは強肩と広い守備範囲が求められる花形ポジションだけに、その出来がチームの勝敗を大きく左右する。スポーツ紙デスクが言う。
「坂本は華麗な守備だけでなく、歴代通算2位の二塁打や300本近い本塁打など、長打も打てる稀有なショートです。運動量が多く、本来は長くできるポジションではないですが、高卒2年目の2008年に二岡智宏からレギュラーを奪って以降、2022年を除いたすべての年で100試合以上に出場して不動の地位を築きました。ただ皮肉なことに、坂本があまりに長くショートで活躍したことで後継者が育たず、彼の衰えとともにチームの勢いもなくなりました」