女性の推し活はドラマへの影響大
そして、なぜ内田春菊さんの原作漫画から10年超の時を経た今、男女逆転版が選ばれたのか。
男女を問わずアイドルグループが乱立し、世代を超えて推し活が浸透しました。ただ、ドラマの視聴率や配信再生数に影響を及ぼすのは、主に女性による男性アイドルの推し活。特に配信再生数やSNS投稿などネット上の動きは大きく、しかも女性たちが推す男性アイドルは俳優としても精力的に活動する人が多いため、彼らをベースにしたドラマが深夜帯を中心に増えています。
ちなみに男性たちが推す女性アイドルのメインはアーティスト活動で俳優としての活動は限定的。また、男性たちの推し活はライブなどのイベントを重視する傾向があり、「ドラマ出演での数字的な効果は女性の推し活ほど得られない」と見られています。
もともと『南くん』は「誰が堀切ちよみと南浩之を演じるか」が重要な作品であり、実際に高橋由美子さんや深田恭子さん、武田真治さんや二宮和也さんという当時のトップアイドルが出演してきました。
その点、今作では、1年前に『VIVANT』(TBS系)のメインキャストとして堺雅人さんや松坂桃李さんらと渡り合った姿が記憶に新しい飯沼愛さんと、昨年「ViVi国宝級イケメン1位」の称号を得たばかりのFANTASTICS・八木勇征さんを起用。飯沼さんは20歳、八木さんは27歳と若く、思い切った抜てきである様子がうかがえます。
脚本を手がける岡田さんは「若い俳優さんにとっては宝箱のようなドラマで、いろんな種類のいろんな感情のお芝居の場がたくさんある」などと作品の魅力を語り、さらに「これからのドラマ界を担う2人の代表作に」と期待をかけていました。多くの世代が楽しめそうな条件がそろっただけに、まずは第1話がどんな物語でどんな反応があがるのか楽しみです。
【プロフィール】
木村隆志(きむら・たかし)コラムニスト、芸能・テレビ・ドラマ解説者。雑誌やウェブに月30本前後のコラムを提供するほか、『週刊フジテレビ批評』『どーも、NHK』などの批評番組に出演し、番組への情報提供も行っている。タレント専門インタビュアーや人間関係コンサルタントとしても活動。著書に『トップ・インタビュアーの「聴き技」84』『話しかけなくていい!会話術』など。