「カラスに突然命を狙われた」──いま、そんな事例が全国各地で相次いで報告されている。生ゴミをまき散らし、田畑を荒らす以上の恐ろしい被害が各地で多発しているのだ。凶暴化したカラスに襲撃されないために、私たちは何をすべきなのか。身を守るための方法を、専門家に徹底取材した。
玄関で靴を履き、道路に出て歩き始めた男の子の小さな体が、突然上空から現れた真っ黒い影に覆われる。振り切ろうと走って逃げる後ろ姿にぴったりと張り付き、後頭部を直撃する──6月上旬、兵庫県宝塚市で撮影された映像には、小学生男児がカラスに襲撃される様子が映されていた。幸いにもけがはなかったものの、男児はその瞬間を振り返り、「ボウリングの球が、後ろから飛んでくるような感じ。死ぬかと思いました」と話したという。
同時期に東京都国分寺市でも、一羽のカラスが男性2人組と自転車に乗った女性を襲撃したことがニュースとなった。カラスの生態を長年観察しているNPO法人札幌カラス研究会代表理事の中村眞樹子さんは、いま、凶暴化したカラスが人間を襲う事例が全国で急増していると話す。
「実際、私の元にもカラスに襲われたという相談が、少し前から増加しています。カラスは毎年、4月から5月にかけて卵を産み、そこから約2か月にわたって子育てを行います。つまりいまの季節は子育てのピークで、巣立ちの時期。雛を守るため、非常に神経質になっていることが攻撃される大きな原因です」
つまりいまは、一年で最もカラスに狙われやすい警戒すべき時期だということ。身を守るための秘策をお伝えする。