攻撃をかわすには「後ろ」を守れ!
何よりもまず意識すべきと専門家が声を揃えたのは「近づかない」こと。
「カラスに近づいたり、じっと見たりといった行為は、通常であれば特に問題はありません。しかしこの時期、カラスにとっては巣の方に人間の目線を向けられるだけでも“卵や雛に危害が加えられるのでは”とストレスのもとになる。特に巣のある場所を見つけたら、そっとそこから離れ、近づかないことを意識してください」(中村さん)
加えて覚えておきたいのは、カラスの攻撃の「パターン」と「癖」だ。カラスの生態や行動を研究するインターメディアテク寄付研究部門特任准教授の松原始さんが解説する。
「カラスは、基本的に後ろから襲ってきます。まずは当たるか当たらないかのギリギリをかすめるように飛んで威嚇。それでも人間が逃げなければ、“飛び蹴り”を入れてきます。そのとき、カラスの爪が引っかかったり、頭をつかまれて切り傷が入ってしまうこともある。実際に襲われたことがある人からは、『頭を引っ張られた』という証言も出ています」
“後ろを守る”ための“グッズ”は身近にある。
「傘を差せば、カラスに襲われても蹴られることはありません。カラスは人間の後ろから襲ってくるので、傘があると“的”になる頭部が見えず、攻撃しようがなくなる。突然襲われて傘を開く余裕がなくても、閉じたままで頭より高い位置につきだせば、傘に接触することを恐れて攻撃できなくなります。
もし傘を持っていない場合、帽子をかぶることでけがのリスクを抑えられます。帽子もない場合は、腕をまっすぐに上げて動かさずに通り過ぎましょう」(中村さん・以下同)
その際、留意すべきは「走らない」こと。
「襲われたときに走ってしまうと、カラスの“ハンター”としての野生本能を刺激してしまいます。走って逃げるのではなく、腕を上に上げることで攻撃を防ぎつつ、歩いてその場から離れることが大切です」