独自の「鴻江理論」を提唱

独自の「鴻江理論」を提唱

渥美「いま、子供から大学生まで指導に当たっていますが、特にジュニア世代の選手から“腰が痛い、膝が痛い”とった言葉を聞くことが増えました。鴻江理論を活用しながら、体が痛くないような正しい動きを私たちが教えることができたら、子供たちが色々なスポーツにチャレンジできるようになると思います」

〈鴻江は、今年自身の理論を「コウノエブランド」として確立。スポーツ用品メーカー「デサント」の10個目のブランドとして船出した。体のタイプに合わせたベルトなどのサポート用品、キャップをはじめとしたスポーツアクセサリーのプロデュースなども行っている〉

鴻江「これまでのように、アスリートのサポートを継続するのはもちろん、アスリートから見出したデータを一般の人たちへ役立たせて、いかに幸せな人生を送るかに貢献したいと考えています。特に、今後は医療と教育分野に踏み込んでいくことを念頭に置いています。寿命は決まっているかもしれませんが、健康寿命は自分で延ばせる。鴻江理論を用いれば、それが実現できると考えています。

 すでに、聖峰会マリン病院の上野高史さん(久留米大学名誉教授)の協力のもと、リハビリを必要とする患者さんに対する実証実験なども行っています」

〈鴻江の野望は、スポーツだけでなくウェルネス分野への拡大だ。「ウェルネス(Wellness)」とは「健康(Health)」をより広義に総合的に捉えた概念であり、身体的・精神的により良く生きようと、日々健康的な習慣を実践することを表す。〉

鴻江「タイプによる運動メニューの策定も行っています。とはいえ、面倒なものではありません。うで体は『イスに座るときゆっくり座りましょう』とか、あし体は『立ち上がる瞬間だけ意識してください』とか。デパートや駅の階段を使う場合、うで体は『下りを階段』で。逆にあし体は『登りを階段』といった具合です。日常生活に、タイプに合った運動を取り入れることで、健康増進につなげようというのが狙いです」

上野「自分たちもそうですが、痛めているところがあるから気にしたり、ケガの予防に努めます。でも本当は、痛めていない時に、どれだけ意識しているかということが重要です。

 一般の方からしてみれば、不調があれば気にかけるかもしれませんが、本来ならもっと前の段階で、自分の体について考えるきっかけを作ってほしいです。鴻江さんの考え方がより浸透して、アスリートのみならず、一般の人も自分の健康をどう作るかに関心をもってほしいですね」

取材・文/祓川学(ストライカープレス)

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