政治ジャーナリストの宮崎信行氏の指摘だ。
「高市氏は総務相時代に森林環境税(今年6月導入)を創設したり、消防団員の処遇改善に応じない自治体の地方交付税を減らす仕組みをつくったり、政調会長時代には自らパソコンを打って前回総選挙の自民党公約をまとめるなど、政策が好きな勉強家だが、大臣なのに官僚がやるような細かいことまで自分でやらないと気が済まない。総理の仕事は大きな方針を決めること。高市氏がなれば、やることが細かすぎて党内をグリップするのも難しいのではないか」
「偏狭なナショナリズム、排外主義で安倍元首相に迎合してきた高市氏では国民の新たな政治ニーズを受け止めることはできない。過去の“マスコミ恫喝発言”のように、メディアへ政治介入するような政治家は総理にしてはいけない」(藤本氏)
静岡県知事選の応援演説で「この方を私たち女性が生まずして何が女性でしょうか」と発言して批判を浴びた上川氏についても、「官僚人事では好き嫌いが激しく、意に沿わない官僚は飛ばす。国会質疑で野党議員から『上川外交に大いに期待している』とエールを送られてもうまく自分の言葉で返せない。アドリブが苦手なタイプ。首相の座が担える器には思えない」(宮崎氏)との評だ。
ワースト上位に名前の挙がった政治家たちは、「選挙の顔」にはなれても、総理大臣として国の舵取りを任せるには実力不足との評価だった。
これまでの自民党総裁選は、派閥の談合で流れが決まり、所属議員たちは派閥の親分が決めた候補に投票してきた。だが、麻生派以外の派閥は解散を決定しており、今回は「派閥の締め付け」が利かない初めての総裁選となりそうだ。それゆえ、小林鷹之・前経済安保相や斎藤健・経産相ら若手・中堅にもチャンスが生じうる。
一方で、自民党の議員たちは従来以上に、「誰に投票すれば自分が選挙で生き残れるか」という選挙の顔選びに走る可能性が強い。
国民は総裁選の投票権はないが、もし、自民党議員たちが“我が身可愛さ”で国を危うくするような総裁を選ぶようなら、来る総選挙で国民から手痛いしっぺ返しを受けると知るべきだ。
(了。第1回から読む)
※週刊ポスト2024年8月2日号