スティルウェル中将の結論は「蒋介石は支援する価値なし」
1941年12月、日本の第一次、第二次「長沙作戦」により国民政府軍は多大な損害を被り、蒋介石は復興費用として5億ドルの借款を米国に申し入れた。春には財政援助として5000万ドル要請していたので、それに続く借款だった。
ジョセフ・スティルウェル陸軍中将がルーズベルト大統領の命を受けて訪中した。彼に与えられた任務は、蒋介石・国民政府を支援しつづける価値があるかどうかを見極め、彼に軍事指揮権を与えるよう交渉することだった。
すると蒋介石は、彼に軍事指揮権を与える代わりに、さらに10億ドルの借款を交換条件として持ち出してきた。
スティルウェル中将は、ルーズベルト大統領に報告書をしたため、「蒋介石は無能で、米国が支援する価値なし!」と結論づけた。しかし、1942年2月、米国議会は借款の議案を通過させた。
蒋介石にとって、これは天から降ってきた贈り物に他ならなかった。
15億ドルという巨額の資金を手に入れた蒋介石は、資金の一部を日中戦争のために軍需品の購入に振り分けたが、大部分の資金は共産党討伐のための準備金として蓄積してしまったのである。
蒋介石とスティルウェル中将は「水と油」の関係だった。傲慢で癇癪持ち、高飛車な物言いをするスティルウェルに、蒋介石は反感を覚えていた。スティルウェルも、国民政府の汚職体質と蒋介石の身勝手なやり口に腹を立て、二人はあからさまに対立した。