パリ五輪出場枠を獲得し笑顔の日本女子チーム(時事通信フォト)

パリ五輪出場枠を獲得し笑顔の日本女子チーム(時事通信フォト)

 そもそも、なぜこれだけ多くの人たちが、わざわざ手間や時間をかけて「19歳で飲酒と喫煙をするなんてケシカラン!」と叫びまくる必要があるのか。「よくないなあ」と感じたとしても、具体的に迷惑を被ったわけでもなく、言ってみれば自分には関係ない話です。

 きっと、叫ぶことで“ご褒美”があるに違いありません。一生懸命に想像してみました。もしかしたら、世間的に「今、何を言ってもいい」とされている標的に石を投げることで、「いいことをしている快感」や「正義の味方になった気分」を感じられるからでしょうか。何だったら「世直しに貢献している自分」にウットリすることも可能です。

匿名なのになぜ進んで長いものに巻かれに行きたがるのか

 気持ち悪さと同時に怖さも感じたのは、そんな「正しい意見合戦」が、ほぼ100%匿名の人たちによって行われているところ。実名で意見を表明している人たちは、多くが「やりすぎだ」と言っていました。ちなみに、このコラムもいつも最初に私の名前を記しているのに、それを読み取れないのか、勢いよく「書き手の名前を出せ!」と言ってくる方がたまにいます。繰り返しになって恐縮ですが、コラムニストの石原壮一郎が書いています。

 話がそれました。匿名で意見を表明する数少ないメリットは、自分の立場や周囲の目を気にしなくてもいいところ。「19歳なんだから酒やタバコぐらいいいじゃないか。みんなやってたよね」と言っても、明日から職場で後ろ指を指されたりはしません(よっぽどひどいことを言えば、匿名ではいられなくなる可能性はありますけど)。

 自由な身分にもかかわらず、なぜ「いい子」になりたがる人が圧倒的に多いのか。基本的に匿名で誰かを責めたり批判したりする行為に対しては、激しい違和感と疑問を覚えます。それはさておき、誰に頼まれたわけでもなく、無意識のうちに「いい子」の側に立ってしまうというのは、どういう心理なんでしょうか。何を恐れているのでしょうか。

 いや、人様の生き方に口をはさむのはおこがましいですね。今回の件で、多くの人が自ら進んで「長いものに巻かれにいく光景」をたっぷり見ました。ひとりひとりに悪気はなくても、客観的には「寄ってたかって弱い者いじめをしている図式」になるんだと、あらためて感じました。「ああいうことはしないようにしよう」と、他山の石にさせていただきます。「世間様とはそういうものだ」ということも学びました。ありがとうございます。

 いよいよパリ五輪が開幕するタイミングで、盛り上がった気分に水を差すようなコラムはご迷惑だったでしょうか。ともあれ、参加するすべての選手にとって、楽しく有意義な大会になりますように。そして、無責任な人たちの鬱憤を晴らすために、がんばっている選手が謎な理由でバッシングを受ける事態が起こりませんように。

関連記事

トピックス

幕内優勝力士に贈られる福島県知事賞で米1トンが
「令和のコメ不足」の最中でも“優勝したら米1トン”! 大相撲優勝力士に贈られる副賞のコメが消費される驚異のスピード
NEWSポストセブン
愛子さま
愛子さま、日赤への“出社”にこだわる背景に“悠仁さまへの配慮” 「将来の天皇」をめぐって不必要に比較されることを避けたい意向か
女性セブン
「学園祭の女王」の異名を取った田中美奈子(写真/ロケットパンチ)
田中美奈子が語る“学園祭の女王”時代 東大生の印象について「コミュニケーションスキルが高く、キラキラ輝いていた」
週刊ポスト
羽生結弦(時事通信フォト)の元妻・末延麻裕子さん(Facebookより)
【“なかった”ことに】羽生結弦の元妻「消された出会いのきっかけ」に込めた覚悟
NEWSポストセブン
目覚ましテレビの人気コーナー「きょうのわんこ」(HPより)
『めざましテレビ』名物コーナー「きょうのわんこ」出演犬が“撮影後に謎の急死”のSNS投稿が拡散 疑問の声や誹謗中傷が飛び交う事態に
女性セブン
シャトレーゼのケーキを提供している疑惑のカフェ(シャトレーゼHPより)
【無許可でケーキを提供か】疑惑の京都人気観光地のカフェ、中国人系オーナーが運営か シャトレーゼ側は「弊社のブランドを著しく傷つける」とコメント 内偵調査経て「弊社の製品で間違いない」
NEWSポストセブン
神田正輝の卒業までに中丸の復帰は間に合うのか(右・Instagramより)
《神田正輝『旅サラダ』残り2週間》謹慎中のKAT-TUN中丸雄一、番組復帰の予定なしで「卒業回出演ピンチ」レギュラー降板の危機も
NEWSポストセブン
小泉進次郎氏・滝川クリステル夫妻の出産祝いが永田町で話題
小泉進次郎夫妻のベテラン議員への“出産祝い”が永田町で話題 中身は「長男が着ていたとみられるベビー服や使用感のあるよだれかけ」、フランス流のエコな発想か
女性セブン
稽古は2部制。午前中は器具を使って敏捷性などを鍛える瞬発系トレーニングを行なう。将来的には専任コーチをつけたいという
元関脇・嘉風の中村親方、角界の慣習にとらわれない部屋運営と指導法 笑い声が飛び交う稽古は週休2日制「親方の威厳で縛らず、信頼で縛りたい」
週刊ポスト
柏木由紀と交際中のすがちゃん最高No. 1
《柏木由紀の熱愛相手》「小学生から父親のナンパアシスト」すがちゃん最高No.1“チャラ男の壮絶すぎる半生”
NEWSポストセブン
今年8月で分裂抗争10年目を迎える。写真は六代目山口組の司忍組長(時事通信フォト)
「宅配業者を装って射殺」六代目山口組弘道会が池田組に銃口を向けた背景 「ラーメン組長」射殺事件の復讐か
NEWSポストセブン
小泉進次郎元環境相と妻の滝川クリステルさん(時事通信フォト)
滝川クリステルの旧習にとらわれない姿勢 選挙区の横須賀では「一度も顔を見せないのはどうか」の声、小泉進次郎氏は「それぞれの人間性を大事にしていきたい」
女性セブン