9度目のカド番で名古屋場所に臨んだ貴景勝だったが、12日目に新関脇の大の里に敗れて5勝7敗。いよいよ土俵際に追い詰められた。13日目は10度目の優勝を狙う横綱・照ノ富士戦、残り2日も琴櫻、豊昇龍の2大関との対戦が予定されている。今場所の結果次第では、現役続行となるのかも注目を集めることとなる。
今場所で負け越せば、貴景勝にとっては2回目の関脇陥落となる。新大関場所となった2019年夏場所では、4日目に対戦した御嶽海との一番で右膝内側側副靭帯を痛めて休場。次の名古屋場所がいきなりカド番となってしまった。スポーツ紙記者が言う。
「当時は場所直前になっても稽古が再開できず、次の2019年名古屋場所を全休。そのため新大関から2場所目で陥落となりました。この時もケガの回復が遅れて次の秋場所は絶体絶命のピンチだったが、12日目に10勝を挙げて大関復帰を決めている」
2019年の秋場所は12勝3敗。御嶽海と優勝決定戦まで進み、寄り切りで敗れて復活優勝とはならなかったものの、大関陥落からの復帰経験があるわけだ。ただ、その後もケガとの戦いでカド番を繰り返すことになり、現状は厳しそうに見える。若手親方はこう話す。
「前相撲から所要28場所での大関昇進は日本人力士としてのスピード記録(年6場所制以降)だったので、期待は大きかった。ただし、立ち合いのもろ手突きからの一気の突き押しを武器にしていた貴景勝だが、最近はスタミナ不足から足が出ないケースが目立つ。もともと、押し相撲一本であることを危ぶむ声もあった。まだ27歳の若さだが、慢性的な首痛もあり今場所で陥落すれば、来場所で10番勝つのは厳しいのではないか」