相撲部屋の「建物」はすでに手中に
今場所で大関在位30場所。大関在位中の優勝3回は魁皇(現・浅香山親方)の4回に次ぐ記録だ。貴景勝の周辺からは「首の故障は完治する目途が立たない。すでに本人も引退を視野に入れている」という話が漏れてきている。
とはいえ、親方として協会に残るためには105ある年寄名跡のいずれかを取得しなければならない。横綱・照ノ富士もまだ入手できていないほど不足している状況がある。貴景勝はどうするつもりなのか。二所ノ関一門の後援会関係者の話だ。
「師匠の常盤山親方(元小結・隆三杉)は部屋の後継者について、貴乃花親方から託された貴景勝ではなく、新弟子から育ててきた愛弟子の隆の勝と決めているようだ。貴乃花の弟子ということも障害となり、年寄株は入手困難とみられていた。
ところが、二所ノ関一門の大関が協会に残れないのは問題だということで、動きがあった。二所ノ関一門で再雇用の参与として協会に残っていた湊川親方(元小結・大徹)が今年の6月30日付けで退職し、貴景勝はその年寄株を入手したとみられている。湊川親方は70歳の定年まで2年あまり残しての退職。二所ノ関一門の大関のために、身を引いたとみられています。体調もあまりよくなかったが、カド番で負け越した場合に貴景勝が即引退を表明するのか、来場所に10番勝って復帰を目指すまでやるのかわからないが、平幕に陥落してまで長く相撲を取り続けることはないのではないか」
貴景勝は昨年の名古屋場所で全休しながら、翌場所は11勝4敗で優勝という実績がある。ただ、大関在位30場所のうち2桁以上勝利したのは11回だけ。関脇に陥落した霧島が10勝を挙げるのに苦しんでいるように、満身創痍の貴景勝が10番勝つのは厳しいと見られている。相撲担当記者が言う。
「貴景勝は二十山親方だった元大関・北天祐(故人)の次女と結婚し、二十山部屋だった建物で生活している。土俵もそのまま残っており、引退後に部屋を興すことは既定路線。貴乃花親方の弟子として初の部屋持ち親方となり、教えを継承することになる」
千秋楽まで土俵際の戦いが続くことになりそうだ。