柔道女子52キロ級2回戦でウズベキスタンの選手に一本負けした阿部詩(AFP=時事)

柔道女子52キロ級2回戦でウズベキスタンの選手に一本負けした阿部詩(AFP=時事)

 開業して20年以上のスポーツ用品店。店内には、種目を問わないさまざまなアスリート達が来店したことを示す、サイン色紙やユニフォームが所狭しと並ぶ。客がそうした貴重な品を見て楽しむのも、同店の魅力だ。だが、そういった店主の行動が、ごく一部のクレーマーの目に留まったのだろう。

「五輪に出場する、あるアスリートの行きつけの店として新聞のネット記事で紹介されたところ”サインを貼りまくる売名店主”とSNSに書き込まれて、店に通ってくれていた別のアスリートが国際大会で失敗すると、うちのような“変な店”に出入りしているから、というような書き込みもありました。これだけならまだいい。アスリートと一緒に来店していた友人まで、被害を受けました」(スポーツ用品店店主)

 実は、スポーツ用品店取材の際、行きつけのアスリートとは高校時代の同級生で部活仲間だったという男性も出演。同級生の男性は元選手なので、すでに一般人。テレビ画面に向かって「がんばれ」とエールを送ったが、それがやはり、一部クレーマーによって槍玉に挙げられた。

「同級生の子もうちのお客さんでね。2人で喜んで取材を受けたのに、その子のSNSには、アスリートに敗れた負け犬、(競技を)引退したくせに偉そうなどとメッセージが来て、すぐアカウントを消したそうです。リアルで会う人からは、よかったね、見たよと言われて、ネットではボロクソに叩かれる。人間不信になっちゃいますよ。今までは、良かれと思ってやっていたんですが、商売方法も変えなきゃいけない」(スポーツ用品店店主)

 五輪期間やその前後は、一般人の私たちが今までほとんど知らなかったようなアスリート達が連日テレビに登場し、新しい有名人として広く顔が知れ渡る。特に金メダルを獲得するなどしたアスリートは、瞬時に国民的な「有名人」となる。見かける回数が増え、栄光に輝くまでの道のりや、競技を見ているだけでは分からない人となりが紹介されるにつれ、突然、知ることになったアスリートに対して親しみがわく人も多いだろう。

 一気に有名人なったアスリートについて大多数の人は、その功績を賞賛し、そのスポーツについて知識や理解を深めたりして、五輪ムードを楽しむものだ。ところが、少数ではあるが、アスリートが活躍する価値を貶めたいのか、そのためのアラを探そう、水を差そう、そして糾弾してやろうと待ち構えている人々がいる。また、アスリート本人は称賛するが、応援のメッセージを送る関係者や、それを伝えるメディアに対して非難と罵倒を浴びせることを正当な行動だと思い込んでいる人たちがいる。

 いずれにしても、ひねくれた考え方だと呆れるほかないが、一人でネガティブな感想を持つだけなら、それは自由だろう。ところが、彼らの一部は、その気持ちを外へ向けて発信するだけでなく、当事者に直接、投げつけている。相手の反応を見て悦に入る醜悪さまでSNSなどでひけらかす。

 選手への誹謗中傷がよくないことだ、というのは多くの人が賛同するところだろう。それと同じように、善意の関係者についても、誹謗中傷や威力業務妨害に問えるような言動に正当化できる理屈などない。

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