浦河を気にかけてくれるのがうれしい
初回の上映を観たお客さんの中には「佐藤さんとの付き合いは40年以上」という人も。浦河町立図書館元館長の小野寺信子さんだ。
「映画のことは響子さんから昨年の12月頃でしたか、いま映画を撮っているんだよと伺っていましたから今日は観られてうれしかったです。映画ですか? とても面白かったですよ。でも、映画の中の佐藤さんは、実際の佐藤さんとはかなり違いましたね(笑い)。
図書館ができたのが1969年なのですが、私は先生に図書館創立10周年記念の講演をお願いに行ったのがきっかけで親しくお付き合いさせていただくようになりました。先生の用心棒として、いつも響子さんなどご家族か編集者のかたが東京から一緒に来て泊まっていたのですが、誰もいないときに私が用心棒がわりを務めるようになって。別荘に泊まったときには夜、先生の作ったお料理をいただきながら面白いお話をたくさん伺って、本当にいろんなことを教わりました」
大黒座と目の鼻の先にある図書館にも映画の巨大なポスターが貼られ期待の高さがうかがえる。佐藤さんの数々の著作とともに映画『九十歳。何がめでたい』の決定稿の脚本も飾られていた。すべて佐藤さんから寄贈されたものだという。
「こうやって先生がいまでも浦河のことを気にかけてくださるのがうれしいです。先生が親しく付き合ってこられた浦河の漁師のかたもほとんど亡くなりましたからね。先生も寂しいと思いますが、また浦河に戻ってきてもらいたいですね」