いつでもタバコを吸っていた
殺人を契機に、敦子被告を中心とする、入り組んだ人間関係や美人局詐欺までも明るみに出たこの事件。敦子被告の周辺では、2019年にも火災が発生していた。
当時、敦子被告が営んでいた宮城県角田市のパン店が燃えたのだった。複数店舗が入る小さな建物において、パン店のみが焼けたという。タバコの不始末が原因だったとされる。当時を知る住民は言う。
「ボヤがあったのは、お店がオープンして半年も経たないくらいですかね。タバコを消して、時間をおかずにゴミ袋に入れていたんでしょうね。そのうちにくすぶって燃えたようです。パン店の隣は燃えなかったですがススが漏れて真っ黒になっていました。その後は店主(敦子被告)と連絡が取れなくなり、そのまま退去したそうで、不動産屋が全部手続きをしたと聞きました」
近隣で店舗を営んでいた住民は、当時の敦子被告の様子をこう記憶していた。
「オープン時に挨拶はなく、しばらく経ってから来ました。でも感じは良くなかった。会っても挨拶しなかったし、いつでもタバコを吸ってるという印象でした。くわえタバコで出勤して車を駐車場に停めて、車を降りてからもタバコを吸いながら店に入っていく。店の前を通ると、外でタバコを吸っているのをよく見ました」
店舗が燃えたことでパン店をたたんだ敦子被告だったが、その数年後、「気づいたら、店があった場所のすぐ近くにある新築の家に住んでました」(同前)という。パン店のあった場所から数百メートルの場所に並ぶ、複数の建売住宅。その一軒に敦子被告は住んでいた。
界隈では有名人になっていたようだ。敦子被告とその家族について知らない近隣住民はいなかった。
「あの家には、村上隆一さんの長男と、その妻の敦子さんだけではなく、その長男の弟(直哉被告)、敦子さんの娘とその夫と孫が住んでいたと思います。最初は敦子さんの祖母も住んでたって聞いたんですけど、とにかくいつも車が複数台停まっていて、出入りする人数も多くて、正確に何人暮らしだったのかはよく分からないです」(近隣住民)
敦子被告は複数回の婚姻歴があり、かつては、証拠隠滅の罪に問われた松野新太と夫婦関係にあった。元夫婦には子供がおり、そのひとりである娘と新築の家に住んでいたという。