「南海トラフ」と「直下型」同時発生の可能性
以上の歴史を踏まえ、福和教授は今後について大きな懸念があると指摘する。
「南海トラフの危険が高まる中で、同時に『首都直下地震』のリスクがある。関東周辺の地震は、関東地震の100年後くらいから起きやすくなるというデータがあるが、今年は関東大震災(1923年)から101年の年。このタイミングで南海トラフが起きたら、その前後に直下型がくる可能性も十分にあります。南海トラフ地震では、最悪の場合32万3000人の死者が想定されている。直下型地震はここまではいかない想定ですが、連続して起これば甚大な被害が想定されます」
巨大地震が生じる可能性が高まっている現状で、福和教授は「国民1人1人が対策を実行に移せているとは言い難い」と警鐘を鳴らす。
「今回気象庁が発表した『南海トラフ臨時情報』は、今回の地震までほとんどの国民が知らなかったはず。防災に関しても、例えば家具の固定も進んでいませんし、まだまだ危機感が足りません。残念ながらこれがこの国の実情です。
視点を変えると、今回の地震は日本を作り直すチャンスでもある。今だったら多くの人が“自分ごと”として捉えられますから。私が南海トラフを想定して監修した漫画(『マンガで解説! 南海トラフ地震その日が来たら…』、気象庁HP上で公開中)も多くの人が自分ごととして捉えられるようにと考えて作りましたが、今準備をしておけば有事の際に動けるんです。津波が怖いという方が多いですが、津波だけではなく具体的に大地震が起きたら水とか電気とかはどうなるんだとか、まだまだ事前に知っておくべきことは多い。当事者意識をもって備えておくことがこの国を救うことになると信じています」
8日に起きた宮崎の地震以降、日向灘や大隅半島東方沖では12日正午までに震度1以上の揺れを複数回観測しているという。気象庁は引き続き、最大震度6弱程度の地震に注意するよう呼びかけている。
◆『マンガで解説!南海トラフ地震その日が来たら・・・』は下の気象庁公式サイトで閲覧できます
https://www.jma.go.jp/jma/kishou/books/nteq_manga/index.html