国内

《江戸は2度壊滅した》“南海トラフ”と“首都直下地震”の歴史、起こりうる“同時発生”のリスク「最悪の場合30万人以上の死者が想定」

南海トラフ地震の仕組み(気象庁HPより)

南海トラフ地震の仕組み(気象庁HPより)

 8月8日の夕刻、宮崎県で震度6弱を観測するなど、マグニチュード7.1の強い地震が発生した。それを受けて気象庁は同日夜に「南海トラフ地震臨時情報(巨大地震注意)」を発表。地震発生から1週間ほどは、最大震度6弱程度の地震に注意するよう呼びかけており、まもなくその1週間が経過する。

 同庁はこの南海トラフ地震臨時情報について、「特定の期間中に⼤規模地震が必ず発⽣するということをお知らせするものではありません」と念押ししつつ、「南海トラフ地震の想定震源域では、新たな⼤規模地震の発⽣可能性が平常時と⽐べて相対的に⾼まっていると考えられます。今後、もし⼤規模地震が発⽣すると、強い揺れや⾼い津波を⽣じると考えられます」として、対策を呼びかけている。

 今回の地震で大きく話題になっている「南海トラフ地震」。駿河湾から日向灘沖までの範囲で、陸のプレートと海のプレートの境界がずれ動くことで生じる地震だが、日本は同エリアでの地震を繰り返し経験してきた歴史がある。名古屋大学の福和伸夫名誉教授が解説する。

「南海トラフ地震の影響は甚大で、過去には歴史の転換点につながったこともありました。1707年には、南海トラフの震源域全体がほぼ同時に動いた『宝永地震』が起きましたが、同年12月16日には富士山が噴火。4年前の1703年に起きた『元禄関東地震』で生じた損害も含め、元禄文化のもと育まれてきた街並みは大きな被害を受け、江戸幕府は社会不安に応える改革を余儀なくされました。

 次に起きた大きな地震は、1854年の『安政江戸地震』。東西の震源域に分かれ、約30時間差で地震が起きました。時間差での発生には注意が必要です。その翌年に起きた江戸の直下地震も甚大な被害を出した。江戸は『元禄関東地震』と『安政江戸地震』で2度、壊滅したんです。幕府滅亡の背景には、続く災害が財政に痛手となったこともあったと考えられます」

 直近で起きた南海トラフ地震は、第二次世界大戦の終結を挟んで生じたものだった。

「1944年12月の昭和東南海地震、1946年12月の昭和南海地震と、震源地の東と西で約2年の時間差で大地震が起きました。前者の地震は名古屋周辺の軍需産業に被害を与え戦況は悪化、日本敗戦の原因の一つにもなったと考えられます」

関連キーワード

関連記事

トピックス

広末涼子容疑者(時事通信フォト)と事故現場
《事故前にも奇行》広末涼子容疑者、同乗した“自称マネージャー”が運転しなかった謎…奈良からおよそ約450キロの道のり「撮影の帰り道だった可能性」
NEWSポストセブン
筑波大の入学式に臨まれる悠仁さま(時事通信フォト)
【筑波大入学の悠仁さま】通学ルートの高速道路下に「八潮市道路陥没」下水道管が通っていた 専門家の見解は
NEWSポストセブン
広末は再婚へと向かうのか
「これからもずっと応援していく」逮捕された広末涼子の叔父が明かす本当の素顔、近隣住人が目撃したシンママ子育て奮闘姿
坂本勇人(左)を阿部慎之助監督は今後どう起用していくのか
《年俸5億円の代打要員・守備固めはいらない…》巨人・坂本勇人「不調の原因」はどこにあるのか 阿部監督に迫られる「坂本を使わない」の決断
週刊ポスト
女優の広末涼子容疑者(44)が現行犯逮捕された
「『キャー!!』って尋常じゃない声が断続的に続いて…」事故直前、サービスエリアに響いた謎の奇声 “不思議な行動”が次々と発覚、薬物検査も実施へ 【広末涼子逮捕】
NEWSポストセブン
「居酒屋で女将をしている。来てください」と明かした尾野真千子
居酒屋勤務を告白の尾野真千子、「女優」と「女将」の“二足のわらじ” 実際に店を訪れた人が語る“働きぶり”、常連客とお酒を飲むことも
週刊ポスト
再再婚が噂される鳥羽氏(右)
《芸能活動自粛の広末涼子》鳥羽周作シェフが水面下で進めていた「新たな生活」 1月に運営会社の代表取締役に復帰も…事故に無言つらぬく現在
NEWSポストセブン
自宅で亡くなっているのが見つかった中山美穂さん
《中山美穂さん死後4カ月》辻仁成が元妻の誕生日に投稿していた「38文字」の想い…最後の“ワイルド恋人”が今も背負う「彼女の名前」
NEWSポストセブン
女優の広末涼子容疑者が傷害容疑で現行犯逮捕された
《病院の中をウロウロ…挙動不審》広末涼子容疑者、逮捕前に「薬コンプリート!」「あーー逃げたい」など体調不良を吐露していた苦悩…看護師の左足を蹴る
NEWSポストセブン
山口組分裂抗争が終結に向けて大きく動いた。写真は「山口組新報」最新号に掲載された司忍組長
「うっすら笑みを浮かべる司忍組長」山口組分裂抗争“終結宣言”の前に…六代目山口組が機関紙「創立110周年」をお祝いで大幅リニューアル「歴代組長をカラー写真に」「金ピカ装丁」の“狙い”
NEWSポストセブン
中居正広氏と報告書に記載のあったホテルの「間取り」
中居正広氏と「タレントU」が女性アナらと4人で過ごした“38万円スイートルーム”は「男女2人きりになりやすいチョイス」
NEWSポストセブン
大谷翔平(時事通信)と妊娠中の真美子さん(大谷のInstagramより)
《妊娠中の真美子さんがスイートルーム室内で観戦》大谷翔平、特別な日に「奇跡のサヨナラHR」で感情爆発 妻のために用意していた「特別契約」の内容
NEWSポストセブン