映像特集でも視聴率は獲得できる
次にさまざまなテーマの映像特集は『ミュージックステーション』の定番企画でしたが、以前から「もっと歌を聴きたい」「その分もう1曲歌ってもらえたはず」などと必ずしも好評ではなく、視聴率獲得という点でも疑問視されていました。
ただ、同じ今春スタートの『ミュージックジェネレーション』は、アーティストがスタジオでパフォーマンスせず短い映像を集めた構成ながら、「難しい」と言われる平日19時台で安定した視聴率を獲得。「新旧のヒット曲を織り交ぜた映像特集ならコア層の個人視聴率が獲得できる」という裏付けができたことで、『with MUSIC』としてもこれを構成しやすくなりました。
実際、前回3日の放送ではオープニングで「夏に聴きたいラブソング」と題して、「波乗りジョニー」桑田佳祐(2001年)、「揺れる想い」ZARD(1993年)、「高嶺の花子さん」back number(2013年)の映像を流し、さらにメインゲストのSnow Manが選んだ「ジェットコースター・ロマンス」KinKi Kids(1998年)、「ミュージック・アワー」ポルノグラフィティ(2000年)、「SUMMER SONG」YUI(2008年)、「LA・LA・LA LOVE SONG」久保田利伸withナオミ キャンベル(1996年)、「BANG!BANG!バカンス!」SMAP(2005年)なども放送されました。
各年代のヒット曲を短い時間で次々に見せていくという構成は『ミュージックジェネレーション』と同様であり、「若年層だけでなく30代・40代も押さえておかなければコア層全体の個人視聴率が上がらない」という現実が透けて見えます。
若手アーティスト偏重の危うさ
もう1つはっきりと試行錯誤の跡が見えるのが、出演アーティストの選択。
『ミュージックステーション』は各年代のアーティストをバランス良くそろえる王道のキャスティングを続けていましたが、長く視聴率が低迷したことで近年は若手アーティスト主体に変わりました。
『CDTV ライブ!ライブ!』はさらに若手アーティストに振り切ったキャスティングで若年層の個人視聴率を獲得。しかし、そこに振り切ることで30代・40代に対するリーチが弱くなるなどの問題があり、さらに『CDTV ライブ!ライブ!』『ミュージックステーション』に加えて後発の『with MUSIC』も若手アーティスト路線になると、競合過多による総崩れのリスクが高まります。
そこで他の音楽番組にはない『with MUSIC』なりの最適解を探さなければいけないのですが、「ライブ演出にどれくらいこだわるか」「生放送のパートを入れるべきか」「トークの割合をどの程度にするか」「MCのテンションはどの程度にするか」などさまざまな点で手探り中という感があります。
ただその中でも固まりつつあるのが、キャスティングのベース。このところK-POP系を含む男女の若手グループを軸に据え、そこに中堅・ベテランを加えるような形が採用されています。
実際ここ1か月の放送を振り返ると、7月20日がINIとBOYNEXTDOORにゆずと工藤静香さん。同27日がMrs.GREEN APPLEとNiziUにHYとORANGE RANGE。8月3日がSnow Manとaespaに緑黄色社会が出演し、17日がBE:FIRSTとNewJeansにポルノグラフィティとflumpoolがキャスティングされています。