スカウティング担当が話す「目が行く中学生」の特徴
今大会の主戦である中崎と西村も、岩淵コーチが声をかけて入学に導いた。中崎に関しては中学時代に在籍していた関メディベースボール学院では、報徳学園のエースとしてこの夏も甲子園で投げ、世代ナンバーワンの呼び声も高い今朝丸裕喜と左右の2枚看板だった。岩淵コーチが語る。
「中崎は投球時、踏み込んだ前足が流れることなく、しっかり止まっていた。要するに投球フォームにブレがないんですね。それと(右打者の内角への)クロスファイヤーのボールがしっかり投げ込めていた。上半身に頼ったパワーピッチャーよりも、森下や中崎のように、下半身から体を使う子のほうがうちの宮村の好みといいますか、そういう投手を育成したいという思いがチームとして強い。自然と下半身を使える中学生に目が行きます」
滋賀の近江ボーイズにいた西村に関して岩淵コーチは「バランスの良さ」に惚れ込んだ。
「そして、変化球でストライクが取れること。当たり前のように思うかもしれませんが、それができない選手が多いんです。それとやはり、下半身をしっかり使えるという点で、中崎と共通していました」
また、小牧監督によるとベンチ外の1年生にもドラフト上位でプロに行く可能性を秘めた左腕が複数いるという。
青森山田は今春のセンバツで敗れた相手だ。リベンジを果たし、決勝に進出することができれば、今度は小牧監督や宮村部長の京都成章の恩師や先輩たちが16年前(1998年)に果たせなかった日本一への挑戦となる。
■取材・文/柳川悠二(ノンフィクションライター)