高校野球で「7回制導入」が議論され、注目を集めている。8月に入り、日本高野連は4月に「高校野球7イニング制に関するワーキンググループ(WG)」を設置していたと発表。WGでは医療関係者を含めた11人の有識者で話し合いを行ない、12月に結果が報告されるという。今回の議論は、プロ野球の大物OBたちからも注目の的となっている。
「7回制」が議論されることとなった大きな理由が「猛暑」だ。アマ野球担当記者が言う。
「暑さ対策や選手の健康面を考慮して試合時間を短縮するのが狙い。米国など諸外国ではすでに高校野球で導入され、国際大会でも採用されている。今後は、日本の高校野球に馴染むかも含めて議論されることになる」
打席が2回しか回ってこない打者も
本誌・週刊ポスト(8月19日発売号)の〈言わずに死ねるか!球界編〉では、野球評論家の江本孟紀氏が「9回を戦うという野球の本質・根幹を変えようというのはあまりにも拙速。チンケなことを考える高野連には、ちょっとええ加減にせいよと言いたいね」と異議を唱えたが、江本氏同様に、「絶対に9回制でやらないけん」と声を挙げたのが、元広島カープ監督で野球評論家の達川光男氏だ。
「野球は『3の周期』で回らないといけない。3ストライクでアウト、3アウトで攻守交替、そして9人が最低3回打席に立ち、9回を戦う。それが野球なんよ。野球経験がない識者がどんなに議論を尽くしても、7回制にする納得できる理由は出てこないよ」
今回の議論については、高校野球の現場からも反対の声が出ている。昨年のU-18ワールドカップで日本代表を率いて優勝した明徳義塾の馬淵史郎監督は「現在より投手陣の厚さで勝敗が決する傾向が強まる。好投手が2人いたら前半勝負で逃げ切れる。基本的には9回で戦いたい」と否定的なコメントを出している。
達川氏はそうした反対意見に「その通り」と首肯する。また、高校野球では昨年からベンチ入りが18人から20人に増えたことを踏まえてこう話した。
「9回やっても20人全員が出られるわけではないのに、7回になったら出場できる選手の数はますます少なくなる。打順が4番以降の選手は2回しか打席が回ってこないケースも出て来る。これじゃ不公平よね」(達川氏)