達川光男(たつかわ・みつお)/1955年、広島県生まれ。1977年ドラフト4位で広島入団。正捕手として活躍。広島監督や阪神などのコーチを歴任し、ソフトバンクでは日本一を経験

1955年生まれ、広島県出身、広島監督や阪神などのコーチを歴任し、ソフトバンクでは日本一を経験している

試合時間は「長くない」

 日本の高校野球だけでなく、国際大会でも7回制導入の議論が進んでいる。達川氏はこう話す。

「特に五輪では、中継を2時間以内に収めたいという意向で7回制が議論されているという。仮にプロ野球まで7回にしたら、職を失うピッチャーが続出しますよ。はっきり言って先発とクローザーだけでいいよ。プロ野球のピッチャーは分業制になっているが、先発は平均で5.9回を投げる。先発が6回を投げたとしたら、クローザーが1回投げれば終了。時間短縮だけを考えれば7イニングでもいいんだろうが、プロ野球は絶対にやっちゃあいけない」

 試合時間を短縮しようとする動きについては、達川氏はこう首を傾げた。

「球場で観戦している人に聞けばわかるが、1試合3時間が長いという野球ファンはいないよ。2時間半で終わったら暇を持て余すと言ってますよ。カープの試合は早いから、マツダスタジアムに来るファンは試合が終わってから何をしようかと困っている。必死こいてチケットを取ったのに2時間半で終わってしまったと文句を言ってますよ。

 テンポが悪いとすれば、日本のプロ野球はベンチからのサインもサードコーチ経由で出しているので、確認に時間がかかる。高校野球は監督から選手に直接サインを出しているため早い。高校野球を真似ればいいんよ。投球間隔も短いし、攻守交替も駆け足でやる。高校野球にできて、プロ野球ができないはずない。そもそも、“打て”や“待て”のサインは出さなくていいよ。そんなことは自分で考えればいいんじゃよ」

 イニング数という競技の根幹を変える前に、できることはいろいろありそうだ。

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