それでは、答えを発表いたしましょう。すでにお察しの方もいるかもしれませんが、10問とも「正しい表記」はAです。Bの表記や発音のほうが、もしかしたらしっくり感じられるかもしれません。しかしそっちは、日本語っぽい“訛り”が広まったものです(などと言い切ってはいますが、この手の話は「諸説ある」を前提にお読みください)。
全問正解の方、おめでとうございます! どこに出ても恥ずかしくない「真の国際人」と言えるでしょう。6~9問正解だった方も、気を落とすことはありません。自分のことを「まあまあの国際人」ぐらいに思ってしまいましょう。
5問以下だった方は、全身に「日本的な文化や風習」が染みついているとも言えます。「俺は筋金入りの日本男児なんだ」や「私は根っからの大和撫子なのね」と思ってもかまいません(そう思うことが嬉しいかどうかはさておき)。とくに正解が0問だった方は、カタカナ語に対してキッパリと距離を置いている己の潔さを賞賛してあげのも一興です。
それぞれの意味は……とくに説明する必要はなさそうですね。意味がわからない言葉はそれだけ縁が薄いということで、うっかり間違えて使う可能性はほぼありません。ただ、聞いたことはあるけど意味は知らない言葉については、後学のために意味をチェックしておくと、会話に出てきたときに微妙な愛想笑いでごまかさずに済みます。
上司や先輩から「それを言うなら」と間違ったダメ出しをされたら
大人のリスクヘッジとして考えておきたいのは、たとえば上司や先輩に対して、こっちが正しい発音で「カッコいいアタッシェケースですね」と言ったら、「おいおい、それを言うならアタッシュケースだろ」と自信満々でダメ出ししてきたような場面。ストレートに「いや、アタッシェケースが正解です」と言ったら、確実にムッとされます。
かといって「ご教示ありがとうございます。お恥ずかしいです」と、相手が間違っているのを承知でそのまま受け入れるのは極めて危険。何かの拍子に相手が「正解」を知ったら、バカにされたと感じるでしょう。いや、バカにしてるんですけど。
ここは「あれ、どっちでしたっけ? アタッシェ……、アタッシュ……。どっちもアリな気がしますね。まあ、細かいことはいっか」と、結論を出さないまま話を終えるのがベスト。その上司や先輩が「どれどれ、調べてみるか」とスマホで検索して、正解がわかって気まずい状況になる心配は、まずありません。そんなマメさがある人なら、最初から正解を知っているだろうし、自信満々に間違いを主張してくることもないはずです。
ほかにも「キューピッド」「ブダペスト」「トートバッグ」などなど、間違いやすいカタカナ語はたくさんあります。真の国際人になるべく、地道なチェックに務めましょう。「でも、そもそも『カタカナ語』という時点で、真の国際人とか何とか言ってもしょうがないのでは?」という疑問もあるかもしれません。いや、あの……ご指摘は極めてごもっともです。ここまで書いてきて「ハッ」と気づきました。
真の国際人を目指す上では、細かいことは気にしない大らかさや、相手の矛盾をスルーしてあげるやさしさも、たぶん必要です。そういう意味で、この記事は十分に読む意味があったと思っていただけないでしょうか。どうかひとつ、よろしくお願いいたします。