熱中症の時も寝ながら考えていたのは、料理のことばかりだったという。
「料理からは一生離れられないでしょうね。アイデアも次々と生まれてきます。昨日よりも今日、今日よりも明日と、1つでも多く新しいものを作っていきたいです」
そして充実した毎日が送れることに「日々感謝している」と噛みしめながら語った。
「街中を歩く時も実は幸せがいっぱい転がっています。僕はそれに気が付いた時、ありがとうと心で手を合わせます。たとえば『まだ自分の足で歩けることにありがとう』というように、1日10回以上、心の中でありがとうと言っています」
【プロフィール】
道場六三郎(みちば・ろくさぶろう)/1931年1月、石川県生まれ。銀座「くろかべ」、神戸「六甲花壇」、金沢「白雲楼」、赤坂「赤坂常盤家」で修業を重ね、1971年に「銀座ろくさん亭」を開店。2005年、厚生労働省の卓越技能賞「現代の名工」を受賞。2007年、旭日小綬章を受章。2020年12月、YouTubeチャンネル『鉄人の台所』を開始。
取材・文/上田千春
※週刊ポスト2024年8月30日・9月6日号