「児童養護施設」か「被災者の救済」か
しかし、やす子さんにとってのリスクは自身のマラソンだけではありません。自分が台風や大雨の影響を受けなくても、今週は台風10号の縦断で被害が広がっているほか、各地に線状降水帯が発生し、大雨災害のリスクは続いています。
また、もしマラソンが行われているとき、西日本などに現在進行形で甚大な被害が発生しているところがあれば、「児童養護施設に募金」より「被災者の救済」が優先されるでしょう。自ら児童養護施設にいたことを告白して並々ならぬ意気込みを見せていたやす子さんは、そのときどのようなスタンスで走るのか。さらに、もし趣旨の切り替えを求められたとき柔軟に応じられるのか。走るだけでなく、1つ1つの発言まで難しい対応が求められることは間違いないでしょう。
やす子さんはこの1週間あまり、『24時間テレビ』の番宣で数多くのバラエティや情報番組に出演しました。
ただ、やす子さんはマラソンの準備について語る一方で、台風の話題にはいっさいふれず。特に生放送の情報番組ではさんざん台風情報を扱っているだけに、不自然さを感じさせました。
実際、28日の『DayDay.』では、「もう今は不安じゃなくてワクワクしているので楽しく走ろうと思います」「『世の中を変えたい』ぐらいの気持ちでやっている」などと気丈に語っていたものの、開催すら危ぶまれる中、どこか悲壮感が漂っていたのです。
このところ、やす子さんはフワちゃんの不適切発言騒動に巻き込まれるなど災難が続くだけに、『24時間テレビ』の本番では会心の笑顔を見せられるのか。児童養護施設の子どもたちだけでなく、被災者にも勇気を届けるような放送が期待されています。
【木村隆志】
コラムニスト、芸能・テレビ・ドラマ解説者。雑誌やウェブに月30本前後のコラムを提供するほか、『週刊フジテレビ批評』『どーも、NHK』などの批評番組に出演し、番組への情報提供も行っている。タレント専門インタビュアーや人間関係コンサルタントとしても活動。著書に『トップ・インタビュアーの「聴き技」84』『話しかけなくていい!会話術』など。