高圧的に指示せず、周囲の考えを“傾聴”するのは、令和型マネジメントの基本。年代の近い巨人・阿部慎之助監督(45)も指揮官となってからは以前の強面を封印している。ただ、現役時代からイジられキャラが定着していた新井監督だと説得力が違うのだろう。そうして、集めた人材が力を発揮する。
「新井監督は現役時代も素直ないい子だったが、人を見る目は昔からあったね。OBに丁寧に挨拶するけど、オレのことは避けるから選球眼はあると思うよ(笑)」(達川氏)
今季の広島は防御率1点台の大瀬良大地(33)をはじめ、すでに10勝を挙げた床田寛樹(29)ら投手陣の奮闘が目立つ。元広島投手コーチの安仁屋宗八氏は、ここでも「任せる」がカギだとする。
「新井監督はとくにピッチャーがわからないので、菊地原毅、永川勝浩の両投手コーチにすべて任せている。その上で投手陣が崩れて負けてもむやみに責任を追及せず『次は頼むぞ』と発破をかける。両コーチが思い切った指導ができていることが好調の要因でしょう」
その姿勢は監督の専決事項である「二軍選手の抜擢」でも同様だという。
「他球団の監督は独断で一軍に上げることも多いが、新井監督の場合は二軍首脳陣の推薦を条件としている。そして、一軍に昇格した際は必ずチャンスを与えます。そこで期待に応えて結果を残す選手が多いので一軍と二軍の風通しが良くなっています」(安仁屋氏)
カープの躍進を支えるのは末包昇大(28)ら昇格組だ。