「世界遺産姫路城マラソン2024」で、手を振りながらゴールする斎藤元彦知事(時事通信フォト)

「世界遺産姫路城マラソン2024」で、手を振りながらゴールする斎藤元彦知事(時事通信フォト)

 知事の目線もそのほとんどがカメラ目線のため、紹介するものより自分のアピールが優先されているように見える。もし知事として県の商品などを県内外に紹介したいという気持ちが強ければ、目線は商品に向けられるべきだろう。人には他人の視線が向けられている先に注目する傾向があるといわれる。知事の目線がカメラではなく紹介するものに向けられていれば、写真を見た人は、最初に知事の顔に注意が向いたとしても、無意識にその視線の先に目がいき、そこに注目することになる。だが知事の写真は残念ながらそのほとんどがカメラ目線、自分のアピールに余念がなかったのだろう。

 知事のナルシストぶりはNEWSポストセブンの他の記事にも書かれていた。外見へのこだわりが強く、「化粧室で1時間髪型チェック」「控室がないとSAかコンビニに必ず立ち寄って」という回答が紹介されていた。告発されてからの言動、明らかになっていくエピソードを読むと、斎藤知事は「自己愛」が強い自己愛人格の傾向があったのだろうと考えられる。

 自己愛が強い人というのは、他人よりも自分を優先し、常に自分が正しいと思い込んでいるため、人の意見は聞かず自分勝手に振る舞う傾向が強いという。そのため他人を自分の支配下に置こうとしたり、パワハラなどで他人の感情を操作しようとする。自分のことが大好きなので、注目されたい、承認されたいという欲求が強く、目立ちたがり屋で社交性は高いという特徴を持つ。我慢は嫌い。自分が人より優れていると思い込んでいるため、自分は特別扱いをされて当然という特権意識が強いという。だから問題が起きても自分のせい、自分が悪いとは思わない。

 百条委員会での知事の答弁を聞いていると、どの行為についても自分が悪いとは思っていないらしい。どれも業務上の指導の範囲内という認識でしかなく、部下にとっては”理不尽な叱責”も、知事にとっては「強く指摘した」「大きな声でその旨を伝えた」「私の認識は合理的だった」「適切だった」なのだ。

 カリスマやワンマンと呼ばれる経営者の中には、自己愛の強いタイプが少なからずいると言われるが、それゆえに魅力的な人もいる。しかし知事という立場はオーナー経営者などとは違う。強い自己愛が周囲に悪影響を及ぼすこともあるだろう。次々に出てくる斎藤知事に関するエピソードがどこまで事実なのか、これからはっきりするだろう。

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