「最初に食べたご馳走はなんですか?」。子供の頃に母が作ってくれた料理、上京したときのレストラン、初任給で行った高級店……。著名人の記憶に刻まれている「初めて食べた忘れられない味」を語ってもらい、証言をもとに料理を再現するこの企画。今回は後藤真希さんに、忘れられないご馳走を教えていただきました。
1999年、当時13才だった後藤真希さんが「これで最後にしなさいよ」と母親から念押しされ、ラストチャンスとして受けた「モーニング娘。」のオーディション。見事合格し、6才から目指していた歌手になる夢をかなえた。そうやってトップアイドルになる前、野菜ジュースを手作りするほど料理好きな母親が台所に立つとき、横にいたのはいつも真希さんだった──。
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東京都江戸川区の実家は小さな一軒家で、7人暮らしでした。テレビで特集されているような大家族の皆さんって、食事のときとか、けっこうワイワイ楽しそうにやっているイメージがありますけど、うちは全然違いましたね。両親の食事に対するこだわりが強かったので、すごい真剣なんですよ。だから夕飯のときは誰も騒がず、黙々と食べていました。食事中は正座がルールだったので、あんまりのんびりしていると足もしびれちゃうし。
週末には、家族揃って日本料理屋さんに行くのが恒例行事で、さざえのつぼ焼きとかあら汁だけじゃなくて、子供の頃からふぐのお刺身なんかまで食べさせてもらっていました。お父さんと一緒に八百屋さんに行くと「好きなのを選んでいいぞ」と言われるんです。でも、値札が見えるじゃないですか。幼いながらに裕福な家じゃないことはわかっていたので、安い方のみかんを手に取ると「おいしいものを食べろ」と却下されて、高価なみかんに交換。