「傍からしたら“そんなつまらないことで”という些細なことに日々悩んでいる人は、たくさんいる。そういう人たちの気持ちを楽にしてあげないといけないと思う。頼りになる人がそばにいなくて、行き場を失っている若い人が多いね。昔はお寺のお坊さんの説教をみんな進んで聴きにいったものだけど、今はそういう場もない。学校の先生も忙しくて余裕がない。心の拠り所が社会にないんだ。彼らが迷わないように、悩まないように、すくすく生きていけるように、若い人たちのためにも残りの人生で力を尽くしたい。
人生に悩んでいる人には親鸞聖人の教えにもぜひ触れてほしいと願います。この映画や原作には人間とは何か、気持ちを楽にして毎日暮らしていくにはどうすべきか、その答えが詰まっているから」
傘寿を前にして、杉は「人のために行動できることが幸せだと感じている。自分の無力さに幾度打ちのめされても、自分を信じて立ち上がる」と語っていた。親鸞聖人の晩年を演じながら、自らも求道者としての人生を志し、歩み続けている。