「今の日本がなすべき事は、世界の分断回避への働き掛けと、確固たる国家観による国家経営だと考えます」──9月9日、高市早苗経済安全保障担当相(63)が2度目となる自民党総裁選への出馬を表明した。(前後半の後編。前編から読む)
同日午後の出馬会見では 「サナエあれば憂いなし」のスローガンを掲げ、会場では終始マスコミに笑顔を見せながら舌戦に臨む決意を示した。
一方で暗雲も立ちこめている。今回の自民党総裁選においては、9月3日に選挙管理委員会が「お金のかからない総裁選」を目指し、政策パンフレットの郵送禁止などを決めていた。ところが、高市氏が自身の政策に関するリーフレットを全国の党員らに向けて8月中に送付手続きを行っていたことが問題視されている。
「本人は『ルール制定の前に配布の手続きを済ませていたこと』としていますが、結果的に禁止が決まったあとに配布されたことを受け、党内では批判の声も強まったことから、委員会から口頭注意を受けた」(全国紙政治部記者)
厳しい目を向けられている高市氏だが、“運と愛嬌”においては天性のものがある。
彼女が口にする「国家経営」という言葉のルーツは、パナソニックを一代で築き上げた実業家・松下幸之助氏の考えから着想を得たものだ。松下氏が日本のリーダーを育てるために作った「松下政経塾」に1984年から5年間ほど身を置いた高市氏だが、2004年に創刊された『論叢 松下幸之助』という学術雑誌に塾の面接時のある話を寄せている。