学生時代の直接対決は尊富士に軍配
尊富士が優勝した3月場所では、10日目に大の里と全勝同士で対戦している。ともに髪の伸びるスピードが出世に追いつかず、チョンマゲの尊富士とザンバラの大の里の一番だったが、右ハズで押し上げながらもろ差しとなった尊富士が押し出しで快勝している。相撲ジャーナリストが言う。
「鳥取城北高から日大に進んだ尊富士に対し、1学年下の大の里は海洋高から日体大に進んだ。高校時代は団体戦で対戦しているが、個人での直接対決は全日本大学選抜相撲。日大2年の尊富士が日体大1年の大の里を突き落としで破っている。
ただ、大の里は2年連続でアマ横綱のタイトルを手にして幕下10枚目格付け出しデビューしているが、尊富士はタイトルを手にできず前相撲からスタート。序ノ口、序二段、三段目、十両とすべて1場所で通過したが、幕下では通過に4場所を要した。そのため新入幕は大の里に先を越されることになった。ただ、先に幕内最高優勝を果たしたのは苦労人の尊富士。ケガを乗り越えれば大の里を脅かす存在になることは間違いない」
大の里と尊富士の記録で際立つのが通算成績の勝率である。史上最多の幕内優勝回数を数える横綱・白鵬(現・宮城野親方)の通算勝率は.828(121場所)、“平成の大横綱”と呼ばれた貴乃花は.752(90場所)。キャリアはまだまだ浅いが、大の里は通算9場所で.756、尊富士は13場所で.866という高い数字をマークしている。
大の里と尊富士を中心に世代交代が進む角界。大の里と同じ2000年度生まれの力士には平戸海、阿武剋、北の若などがいて、尊富士と同じ1999年度生まれには豊昇龍、王鵬、白熊、狼雅、琴勝峰がいる。大の里のさらに下の世代には熱海富士や伯桜鵬などが控える。「大尊時代」の新たな角界の景色は、今とは大きく違ったものになりそうだ。