「不祥事による役員の辞任は、記者らによるインサイダー取引問題で当時の橋本元一会長らが辞任した2008年以来でした。今回の件は傍田氏の立場からすれば生放送中のトラブルという“とばっちり”な訳ですから、少なくとも、稲葉(延雄)会長が中国人スタッフの“不適切発言”を重く捉えていたことは間違いないと思います。
NHKの理事を形式上辞任させても、例えば関連会社の役員に就任させるという選択肢もあったはず。それをせずにあえて“一社員”に戻したと見るなら、重い処分とも言えるかもしれません」
その一方で、NHKの役員が不祥事の責任をとったのちに契約職員となるケースには、前例があるという。
昨年あった不祥事の“前例”
「昨年5月、業務として認められていない衛星放送番組のインターネット配信に関連支出約9億円を盛り込んでいた問題が発覚した際には、決定に関与した当時の役員6人が、7月に報酬の一部を自主返納するなどの処分を受けたんです。実はこの時も、処分を受けた元役員3人が、のちに契約職員として新たに契約を結んでいた。
3人のうち1人は昨年2月、2人は昨年4月に理事を退任していましたが、処分を受けた翌月である8月に契約職員として各局の『特別主幹』のポストに就いています」
つまり、処分を受けたばかりの元理事が契約職員として要職に就くという人事には、傍田氏以前にも前例があったのだ。