初登院してバッジを付けてもらう初当選の高市早苗氏。1993年8月5日(時事通信フォト)

初登院してバッジを付けてもらう初当選の高市早苗氏。1993年8月5日(時事通信フォト)

 眉毛は黒く太くはっきりと書かれ、自我の強さ、自己主張の強さをアピールしている。一目で濃いと分かるメイクのため、のっぺりと見えてしまい、どこか時代遅れな感じ。髪型は撫でつけたようにぺったりとしたショートで髪色も黒、ふんわりと軽快で明るく自然な感じはない。眉も髪も黒すぎる。タレントのアン・ミカさんは、ずっと同じように見えるかもしれないが時代や年代に合わせてメイクの仕方を変え、魅力的に見せていると、どこかの番組で話していた。高市氏も変えているのだろうが、魅力的に見せることには失敗している気がした。

 服装やメイクから女性らしい温かみや柔らかさ、色気などより、理知的なクールさ。冷静沈着な判断力などを演出しているだろうに、彼女は顔中をくしゃくしゃにして何度も微笑んだ。それが彼女の人柄なのだろうが、クールで力強いリーダーをアピールするのなら、この演説で笑うべきではなかっただろう。

 この演説で彼女がしてしまった失敗は3つある気がする。1つは冒頭部分にある。石破氏は冒頭、石川県などで被災され被害にあった人々に哀悼とお見舞いを述べると、今、檀上にいることについて「ここまでこさせて頂くことができました」と自民党員らに感謝した。高市氏はまず「女性である私が総裁選の決選投票にすすませて頂いた。これは自民党にとっても、日本国にとっても、歴史的な瞬間だと思っています」と述べ、「ありがとうございます」と感謝した。確かに歴史的な瞬間だった。気持ちが高ぶってもおかしくない。だが彼女の言葉はここで途切れてしまった。“ここからが本番”でも“まだ先がある”でも“一緒に歴史を作ろう”でもない。その勢いを自分で切ってしまったのだ。次への言葉がないままに、高市氏は被災や被害にあった人たちのことを話し始めた。彼女の挑戦はここで終わってしまう、そう思った瞬間だった。

 2つ目の失敗は歴代首相に感謝の言葉を述べた上に、9人で戦った総裁選についての話に時間をかけたことだ。「そして」「そして」と話が続き、彼女の話は終わらない。何から何まで説明しないと気がすまないようだが、声のトーンもワンパターンで大きな抑揚もないため言葉が耳に残らない。注意して聞かないと、言いたいことが掴めない。だから中盤の話は歴代首相への感謝と総裁選の総括?という印象しかなかった。

 3つ目は5分間で演説をまとめきれなかったことだ。初めての決選投票で緊張したのかもしれないが、時間配分をコントロールできなかったのは痛かった。さらに時間だとメモが渡された後も、口から出たのは公明党の山口那津男代表(当時)への感謝の言葉。ここで言うべきは、みんなで一緒にさらなる歴史的瞬間を作ろう、ではなかったのか。最後まで自分はこうする、こうしたい、だから一緒に!という強く明確なアピールはなく、自民党議員の気持ちを盛り上げ鼓舞することはできなかった。

 5分間の演説がもっと劇的な拍手に包まれるようなものであったなら、高市氏が勝利していたかもしれない。さて女性初の総理大臣が誕生するのはいつになるのか。

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