妻への“歪すぎる配慮”
先延ばしにもできなかったのかと更に問われた修被告は、浩子被告への配慮から、自ら実行したと明かした。
「もうあと目をひとつ、くり抜くだけですし、頼まれたのが、金曜夕方? 土曜? ……とにかく夕方で、次の日に朝イチで関西に出張……2日近く家を空けることになる。その間に撮影する可能性はかなり高かった。電子機器をいじるのは好きな方ではないし、損壊行為は考えただけで身の毛がよだつ、とても考えられないと思いましたが、語弊はあるかもですが、とにかく終わらせといたほうがよろしいなと」
自分が留守の間、浩子被告が撮影することにならないように、また娘が感情をコントロールできなくなることがないように……家族への愛から、男性の頭部損壊を撮影するという歪な話を、修被告は淡々と語るのだった。尋問が終わった修被告が法廷を去る際、浩子被告はまた目を赤くして、メガネを外し、目元を押さえていた。
(了。前編から読む)
●取材・文/高橋ユキ(ノンフィクションライター)