譲ってもらったら「お先に失礼」を忘れずに
もちろん、譲ってばかりいるのも考えものです。「どうぞ、どうぞ」と譲り合っている間に、他の人たちを待たせてしまい、かえって迷惑になることも。また、聞き役ばかりに徹していては、充実した会話を楽しんだことにはならない。
「時と場合によって、お先に失礼しますとスマートにすっと前に出ることも、身につけておきたいふるまいです。小さな目礼(もくれい)でもいいでしょう。茶席では、茶室に入る前からお茶をいただくまで、何度も、『お先にどうぞ』『お先にいただきます』……ったやりとりを交わします。たとえば、お茶やお菓子をいただく時、隣に座る客に『お先に』と一言伝えてからいただきます」
さまざまなシーンで「お先に失礼します」「お先にいただきます」を心がけるうちに、いつのまにか周囲の人の気持ちや様子を俯瞰で見られるようになるはず。「お先に」の気持ちであらゆる場面をおろそかにせず、丁寧にふるまうことは、相手にもこちらの気づかいが伝わり、互いに心地よいものとなる。
謝罪は時間をおかずに誠意を込めて
自分の失敗に気がついた時、その事態や影響が大きくなればなるほど動揺し、あわてふためくのは当然であろう。つい責任の所在をごまかしたくなるかもしれない。けれど、本当に謝らなくてはならない場面で、相手を思いやって謝罪ができるかどうかが大事と千氏は言う。