六代目山口組の司令塔、高山清司若頭(写真/共同通信社)

六代目山口組の司令塔、高山清司若頭(写真/共同通信社)

「司」「高山」の名前が記されたメモ

 事件の捜査を担当した兵庫県警の巡査部長、警部補も証人として出廷。「防犯カメラをどのように収集したか」から「集めた映像をどう精査したか」などを証言し、検察も質問を繰り返したが、その質問、回答に対して弁護側から「中田被告を犯人だと決めつけている」などと異議が相次いで入った。

 裁判長も「捜査員の心象を述べているに過ぎない。客観的事実のみ述べよ」と検察に対して指摘するなど、法廷にはピリついた空気が流れていた。

 法廷が再びどよめいたのは検察が提出した1枚のメモ用紙だった。2019年12月、中田被告が逮捕された際に所持していたもので、「司」「高山」という名前と住所が記されていたという。

「司、高山は言うまでもなく、抗争相手の六代目山口組の司忍組長、高山清司若頭を指すものでしょう。そして、記されていた住所は、警察のデータベースによると、司組長、高山若頭の関係先、立ち寄り先と一致していたことが明かされた。

 高山若頭は銃撃事件があった2019年の10月に、約5年4か月の服役を終えて出所したばかり。今回審理されている事件の直接的な証拠にはならないが、中田被告が六代目のトップ2人に対し、何らかの事件を起こす考えもあったのではないかと驚きが広がった」(前出・実話誌記者)

 検察は、犯人が犯行時に使用した黒い原付バイク、犯行後に乗り換えた白いスクーターがそれぞれ山健組に関係する車体、中田被告に関係する車体であったという供述も提出。さらには中田被告の過去の逮捕歴も証拠としたが、いずれも中田被告が実行犯だとする決定的証拠は提出されなかった。

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