「25年もあればみんなもいろんなことがあったと思うけど、楽しかったことも嫌だったことも、全部が自分をここに連れてきてくれたんだと思うと、悪くないじゃんって思えるようになった。(略)私はすごくいい25年だったなと思うから、みんなもそうだといいなって。だから、いまは最高ってこと。みんなおめでとう!」
彼女がこう語りかけると、会場にいる満員の観客が、この25年のことを思い浮かべ、そして目の前にいる宇多田ヒカル(41才)の25年にも思いを寄せただろう。
9月1日、彼女のデビュー25周年を記念した6年ぶりのツアー「HIKARU UTADA SCIENCE FICTION TOUR 2024」が全18公演を終えた。ツアーファイナルとなったKアリーナ横浜公演。「いまは最高」と叫んだ彼女は、公演を終えると愛しいパートナーの元へと急いだ。
《特別企画展 ヨシロットン展 FUTURE NATURE II In Kagoshima》──10月8日から故郷である鹿児島で自身の個展を開催しているのが、宇多田の新たなパートナーであるYOSHIROTTEN(41才)だ。本名は西由浩。いま、世界的に注目されるグラフィックアーティストだ。
昨年は代表作であるアートプロジェクト「SUN」を日本各地で展開し、森山大道、蜷川実花ら多くの写真家とも共作を発表。また2021年、東京・表参道のエルメスのオープン時には、店舗デザインを担当するなど、海外のラグジュアリーブランドからもラブコールが止まず、いま日本で最も勢いのあるアーティストのひとりと言えるだろう。
「伝説の英パンクバンド『セックス・ピストルズ』のジョニー・ロットンの名前をオマージュしてこの名を名乗るようになったそうです。もともと音楽会社でインターンをしていた際、たまたま持っていた自分の作品が音楽関係者の目に留まり、そのとき“ちょっと書いてみてよ”と依頼された文字をデザインしたところ、それがそのままサザンの桑田佳祐さんのソロツアーのロゴになった。そんなシンデレラストーリーで世に注目されるようになった、異彩のアーティストです」(音楽関係者)
宇多田との出会いのきっかけは、今年4月に発表された彼女のベストアルバム『SCIENCE FICTION』のアートワークを彼が手がけたことだった。
「宇多田さんは自分にない才能を持つ人に常にアンテナを張っていて、アルバム制作の際も彼の仕事に関心を持っていた宇多田さんが指名したといいます。すると、彼女が頭のなかでイメージしたものを彼がブラッシュアップして見事にかたちにしてくれた。よほど気が合ったのか、早い段階で親密な関係になったようです」(前出・音楽関係者)