「救急車と警察を呼んでください!」
この時、やっくんにはまだ意識があった。やっくんはほかに被害者が出ないよう、痛みを堪えて事故現場で必死になっているTaiGaのもとに走ってきたという。
「やっくんの姿を見た僕は、携帯も持たずに車の外に出てしまったので、『やっくんは救急車と警察を呼んでください!』と叫んだんです。わかった! と言い、やっくんは走って車に戻っていきました。なんとしてもこれ以上の事故を避けるために意識が朦朧とする中、衣類を振り回していましたが、中央分離帯にいる僕の横を過ぎ去った車に、やっくんがはねられてしまったんです」
彼は、当時のことを今でも疑問に思っていると言う。
「一番後ろには僕がいて、やっくんも比較的安全な中央分離帯を行き来していたはずなのに、なぜはねられてしまったんだろう?』と、悔やんでも悔やみきれないです。事故の詳細はこれまで多くのメディアの方から聞かれましたが、当時の自分の細かな行動や心境は初めて語ったかもしれません。
まだまだ話していなかったことがあるので、話せる範囲でお話していきます。その後、生き残ったメンバーがどんな扱いをされていたかも……」
重なってしまった不運な事故でやっくん、マネージャーという大事な仲間を失ったグループはその後、どんな道を辿ったのか。そして、10年以上が経った今、TaiGaはどんな生活をしているのだろうか。
(後編へ続く)
◆取材・文/佐藤ちひろ(ライター)