'79年のNHK大河ドラマ『草燃える』の記者発表にて。石坂は主人公の源頼朝役に。左から国広富之、真野響子、石坂、岩下志麻、松平健

1979年のNHK大河ドラマ『草燃える』の記者発表にて。石坂は主人公の源頼朝役に。左から国広富之、真野響子、石坂、岩下志麻、松平健

「まさかと思いましたね。ぼくはこの前年、俳優の高橋幸治さんとドラマ『父と子たち』(中部日本放送)に兄弟役で出演していたのですが、この作品が芸術祭の文部大臣賞を受賞したんです。それを『太閤記』のディレクター・吉田直哉さんが見ていて、出演をオファーしてくださった。そして高橋さんが織田信長役を、私が石田三成役をいただいたんです」

 石坂はこの大河で初めてせりふのある役として出演、好評を得た。そして1969年『天と地と』では主演の上杉謙信役を獲得。27才のときだ。

「ぼくは演技においていつも緊張感を持っていますが、プレッシャーという意味での緊張はしません。ですから、主演といっても特別な苦労は感じませんでした。同年代の男ばかりが集まって、鎧を着たままメシを食べたり雑談したりして……。最初は苦痛だった鎧の重みにもだんだん慣れてくるんですよ。武田信玄役は高橋さんでしたし、楽しい思い出ばかりです」

 これ以降、石坂へのオファーは途切れることなく、それはいまも続く。倉本聰さん原作・脚本の映画『海の沈黙』の公開も11月に迫っている。そんな石坂の役者としての原点はどこにあるのか──。

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