ライフ
連載『いつも感じのいい人のたった6つの習慣』

【千利休の末裔が語る“いつも感じのいい人”の習慣・第3回】「ご縁」を大切にする人は、人づきあいがうまい

著者の千 宗屋氏

著者の千 宗屋氏

新郎新婦が自立している現代では、仲人は不要

 かつて、結婚披露宴では仲人夫妻が必ず新郎新婦の隣に座っていたが、今ではほぼその姿は見られなくなった。仲人さんの紹介によるお見合い結婚という例が少なくなったからもあるだろうが、ほかにも理由はありそうだ。

 「一昔前とくらべて、今は男女共に社会的経済的に自立してから結婚する人がほとんどです。招待客も自分たちが直接親しくしている友人や上司がほとんどで、親の関係者を招くことはまれです。こうした二人の結婚式では、親代わりとして常に補佐する役割の仲人さんは、もう必要なくなったと考えていいのではないでしょうか。

 仲人さんが存在した時代の結婚披露宴では、新郎新婦が自分の言葉で話す機会はほとんどありませんでした。また、招待客も親のつながりで呼ばれる人が多く、極端な例では新郎新婦の顔も知らない名士などが主賓として座ることも多々ありました。今は、新郎新婦自身が招待客を選び、本人が挨拶をすることがふつうになっています。これもやはり、新郎新婦が経済的にも社会的にも一人前の大人であり、すでに独自のコミュニティを形成しており、そのつきあいを中心に招待客を選ぶようになったからだと思われます」(千氏)

披露宴は、誰が主人公なのか

 さらに、仕事の都合などですでに実家を出て一人暮らしをしているなど、親世代の住む地域社会とのつながりも薄くなっている。

「結婚披露宴とは、自分の属するコミュニティの主要なメンバーを一堂に招き、結婚を報告すると共に、自分の伴侶を紹介し、今後は夫婦という単位で活動していくことを披露する場です。かつて、親世代が「子どもたちを今後ともよろしくお願いします」と自分の仲間や地域社会に対して披露した頃からは、そういった面でも時代と共に変化をしてきているのです。誰が主人公なのか、誰のために開くのか。それによって、挨拶をする人や招待状の名前も変わってくるのです」(千氏)

 結婚披露宴の席順というのも、昨今では柔軟になってきていると聞く。

 「かつては、壇上の高砂席に新郎新婦と仲人が座り、地域の名士や新郎の上司が主賓として上席につくのが定番でした。その場合、両家の親や親族は招待する側として末席に座ることになります。

 現代では、新郎新婦の二人が名実共に主催者となっていることがほとんどですが、招待客は会社の上司や同僚、学校時代の恩師や友人など、社会的なつながりの深い人物であり、そちらを優先するため席順はほとんど変わりません。今も両親や親族は、主催者側の身内として末席に座るのが妥当です」(千氏)

 だれが主役かによりコミュニティも変わる。けれど、「ご縁を大事すること」は常に変わらないのだ。

【著者プロフィール】
千 宗屋(せん・そうおく)/茶人。千利休に始まる三千家のひとつ、武者小路千家家元後嗣。1975 年、京都市生まれ。2003 年、武者小路千家15 代次期家元として後嗣号「宗屋」を襲名し、同年大徳寺にて得度。2008 年、文化庁文化交流使として一年間ニューヨークに滞在。2013 年、京都府文化賞奨励賞受賞、2014 年から京都国際観光大使。2015 年、京都市芸術新人賞受賞。日本文化への深い知識と類い希な感性が国内外で評価される、茶の湯界の若手リーダー。今秋、「人づきあい」と「ふるまい方」を説いた書籍『いつも感じのいい人のたった6つの習慣』を上梓。慶應義塾大学大学院政策・メディア研究科特任教授、明治学院大学非常勤講師(日本美術史)。一児の父。Instagram @sooku_sen

関連キーワード

関連記事

トピックス

失職直後から駅前での辻立ちを始めていた斎藤前知事。その周りには応援にかけつける人も
【現地発ルポ“斎藤前知事現象”】増殖中の支持者に共通する「メディア不信」「大多数がSNSで情報収集」 本人も告白「応援が増えているのは実感しています」
週刊ポスト
優勝争いにも絡む上々のデビュー戦となった馬場咲希(時事通信フォト)
《揉まれて逞しくなった》女子ゴルフ大型新人・馬場咲希が異例の「国内ツアーを経ずいきなり米国挑戦」で得た成果
週刊ポスト
お一人での地方公務を行われた愛子さま(2024年10月、佐賀県。撮影/JMPA)
愛子さまの映像に「やばいやばい」のテロップ、日テレが配信後に削除 宮内庁は「必要と認める対応が取られた」
週刊ポスト
チャンネルが削除されたYouTuberのまっか
【登録者35万人も垢BAN】ブラなし散歩動画のYouTuberまっかが告白「ご意見は真摯に受け止めたい」「今後は歌のチャンネルを伸ばしたい」
NEWSポストセブン
10月17日、東京・世田谷区の自宅で亡くなった西田敏行さん
「皆さんの前で座っているのか?」俳優・西田敏行さんの40年来の付き人が驚いた亡くなる約1週間前の様子
NEWSポストセブン
経営者らとは連絡が取れない状況が続いているという
《見捨てられた老人ホーム》「転居先探しも“丸投げ”」「敷金10万円はどうなるのか」利用者家族の行き場のない怒り…千葉の施設で起きていた「新たな展開」
NEWSポストセブン
【保守政治家の正体】橘玲氏が分析 石破自民が「立憲民主よりリベラル」という逆転現象はなぜ起きたのか
【保守政治家の正体】橘玲氏が分析 石破自民が「立憲民主よりリベラル」という逆転現象はなぜ起きたのか
週刊ポスト
現地時間の16日、ホテルから転落し亡くなったとみられている「ワンダイレクション」元メンバーのリアム・ペイン(31)。通報を受けて警察が駆けつけた際には、すでに蘇生の余地もない状態だったという(本人SNSより)
《目撃証言》「ワン・ダイレクション」ペインさんが急逝…「元婚約者」とトラブル抱え、目撃された”奇行”と部屋に残されていた”白い粉”
NEWSポストセブン
ワールドシリーズMVPも視野に
《世界一に突き進む大谷翔平》ワールドシリーズMVPに向けて揃う好条件「対戦相手に天敵タイプの投手がいない」、最大のライバルは“ドジャースの選手”か
週刊ポスト
10月17日、東京・世田谷区の自宅で亡くなった西田敏行さん(時事通信フォト)
《俳優・西田敏行さん逝去》訃報を受けて一番に供花を届けた「共演女優」 近隣住民が見ていた生前の様子
NEWSポストセブン
「応援していただいている方が増えていることは感じています」
【支持者が拡大中!?】斎藤元彦・前兵庫県知事インタビュー「街頭で、若者からの支持を実感しています」
NEWSポストセブン
コンビ名はどうするのか(時事通信フォト)
「変えなくていいのか?」ジャングルポケット・斉藤慎二 残された2人を悩ます「コンビ名問題」
週刊ポスト