国内
石破茂首相は保守か、エセか

佐藤優氏が石破首相を分析「根底に強いキリスト教信仰があるからこそ“リベラルな保守”たりえている」

作家で元外務省主任分析官の佐藤優氏

作家で元外務省主任分析官の佐藤優氏

 来る総選挙は、自民党総裁の石破茂首相と野党第一党・立憲民主党の野田佳彦代表がともに「保守」を自任する政治家としてぶつかり合う。だがこの2人、果たして“本物の保守”なのか。作家で元外務省主任分析官の佐藤優氏が、石破首相の立ち位置について分析する。

 * * *
 結論から言えば、石破氏はリベラルな保守だと思う。伝統的なものを大切にするという価値観は保守で、多元的な意見を認めるというアプローチはリベラル。それに対し、安倍晋三・元首相を支えていた人たちは岩盤保守と呼ばれるが、“こうすれば理想的な日本ができる”という考え方は、保守というより右翼ナショナリストだ。

 そして石破氏の理念を理解するうえで見落とせないのが、プロテスタントのキリスト教徒であることだ。総裁選前に発売されて広く書店に流通した『保守政治家』よりも、版元からの直販のみの『石破茂語録 主よ、用いてください』(あだむ書房)という著書のほうが石破氏の内在的論理をよく理解できる。

 同書から読み取れるのは、石破氏が日本政治史において稀有な、強いキリスト教信仰を持つ首相であるということだ。人間は過ちを犯す存在だと認めて、少しずつ良くしていこうというキリスト教は保守思想と親和性が高い。夫婦別姓を容認するといった考え方の根底にも、このキリスト教があると考えていい。

 神社は参拝するけれども、神社の神々に祈っているわけではない。そうして表向きは現実に合わせた行動を取り、内面には信仰がある。公明党・創価学会などと同じ構造だろう。戦後日本の価値観に基づいた保守と言える。むしろ野田氏のほうが神がかり的な考え方で右翼ナショナリストに近い立ち位置と見ている。

 熱心なキリスト教徒である石破氏は、首相になったことで自分には歴史的使命があると強い信念を持ったように感じる。

関連キーワード

関連記事

トピックス

中居の女性トラブルで窮地に追いやられているフジテレビ(右・時事通信フォト)
「スイートルームの会」は“業務” 中居正広氏の性暴力を「プライベートの問題」としたフジ幹部を一蹴した“判断基準”とは《ポイントは経費精算、権力格差、A氏の発言…他》
NEWSポストセブン
騒動があった焼肉きんぐ(同社HPより)
《食品レーンの横でゲロゲロ…》焼肉きんぐ広報部が回答「テーブルで30分嘔吐し続ける客を移動できなかった事情」と「レーン上の注文品に飛沫が飛んだ可能性への見解」
NEWSポストセブン
大手寿司チェーン「くら寿司」で迷惑行為となる画像がXで拡散された(時事通信フォト)
《善悪わからんくなる》「くら寿司」で“避妊具が皿の戻し口に…”の迷惑行為、Xで拡散 くら寿司広報担当は「対応を検討中」
NEWSポストセブン
中居の女性トラブルで窮地に追いやられているフジテレビ(右・時事通信フォト)
【約4割がフジ社内ハラスメント経験】〈なぜこんな人が偉くなるのか〉とアンケート回答 加害者への“甘い処分”が招いた「相談窓口の機能不全」
NEWSポストセブン
男性キャディの不倫相手のひとりとして報じられた川崎春花(時事通信フォト)
“トリプルボギー不倫”4週連続欠場の川崎春花、悩ましい復帰タイミング もし「今年全休」でも「3年シード」で来季からツアー復帰可能
NEWSポストセブン
中居の女性トラブルで窮地に追いやられているフジテレビ(右・時事通信フォト)
【被害女性Aさんが胸中告白】フジテレビ第三者委の調査結果にコメント「ほっとしたというのが正直な気持ち」「初めて知った事実も多い」
NEWSポストセブン
佳子さまと愛子さま(時事通信フォト)
「投稿範囲については検討中です」愛子さま、佳子さま人気でフォロワー急拡大“宮内庁のSNS展開”の今後 インスタに続きYouTubeチャンネルも開設、広報予算は10倍増
NEWSポストセブン
中居の女性トラブルで窮地に追いやられているフジテレビ
「スイートルームで約38万円」「すし代で1万5235円」フジテレビ編成幹部の“経費精算”で判明した中居正広氏とX子さんの「業務上の関係」 
NEWSポストセブン
記者会見を行ったフジテレビ(時事通信フォト)
《中居正広氏の女性トラブル騒動》第三者委員会が報告書に克明に記したフジテレビの“置き去り体質” 10年前にも同様事例「ズボンと下着を脱ぎ、下半身を露出…」
NEWSポストセブン
「岡田ゆい」の名義で活動していた女性
《成人向け動画配信で7800万円脱税》40歳女性被告は「夫と離婚してホテル暮らし」…それでも配信業をやめられない理由「事件後も月収600万円」
NEWSポストセブン
昨年10月の近畿大会1回戦で滋賀学園に敗れ、6年ぶりに選抜出場を逃した大阪桐蔭ナイン(産経新聞社)
大阪桐蔭「一強」時代についに“翳り”が? 激戦区でライバルの大阪学院・辻盛監督、履正社の岡田元監督の評価「正直、怖さはないです」「これまで頭を越えていた打球が捕られたりも」
NEWSポストセブン
現在はニューヨークで生活を送る眞子さん
「サイズ選びにはちょっと違和感が…」小室眞子さん、渡米前後のファッションに大きな変化“ゆったりすぎるコート”を選んだ心変わり
NEWSポストセブン